雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

いみじうきたなきもの

2014-06-03 11:00:02 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二百四十五段

いみじうきたなきもの。
蛞蝓。
えせ板敷きの箒の末。
殿上の合子。


大変汚いもの。
なめくじ。
傷んだ板敷を掃く箒の先っぽ。
殿上の間の合子(ゴウシ・ふたのある漆塗りの椀)。



汚く気持ちの悪いものですから、少納言さまもさらりと流している感じです。

ナメクジというのは現在でも嫌われものですし、そのナメクジがいるような板敷を掃く箒の先も汚らしいことは良く分かります。
ただ、天皇のそば近く使える侍臣が詰める殿上の間に備え付けられているお椀が、ナメクジと並べられているというのは理解に苦しみます。
解説書などによりますと、何年かに一度しか交換されないため漆もはげて汚らしいこと。他人と共用されていること。枕に使った者もいるという記録がある。などから、女房たちの間で常々言われていたことのようです。

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