マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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一本木のオンダの牛馬作り

2011年06月07日 07時32分25秒 | 天理市へ
5月3日に行われる新泉の野神祭りの役道具が作られるこの日は今年が最後になったヒキドーヤのN家の倉庫で作業が始まった。

朝から夕方までかかる道具作りだ。

麦藁は昨年に作られた残り物。

対象の頭屋の子供は卒業し、その年が最後の行事になるはずだった。

麦はこの行事のために頭屋の耕地で栽培してきた。

麦畑を見ればどの家が頭屋か判るという。

その麦藁でムカデ、ウシ、ウマを作る。

ウシは頭を下げ、ウマは上げるように作っていく。

藁の部分しか使わないので実の穂は次年度用に種にするか捨てるのだという。

かつては子供が作っていた。

小学低年齢は麦揃え、高年齢は麦括り、その上は先輩として指導したという。

それは随分前のことで、実際は長老が指導していたそうだ。

見よう見まねで覚えていく子供のなかには早くも身につける子もいたそうだ。

要領得た子だったようだ。

その長老は亡くなられた。

が、今後のためにとビデオを収録されていた。

それを見て頭屋の親たちが作ってきたと話す。

子供が少なくなって仕方なくそうしてきた。

その子供の出番がある。

作業のマネゴトだけになってしまったが麦藁の「ハカマ」取りだ。

それに加えてヤナギの木の枝の皮剥ぎもする。

ツルツルーと表皮を剥げば真っ白な状態になる。

それを加工してウシやウマのアシやツノにするという。

簡単な作業の後は大人の作業になった。



出来上がったムカデは倉庫に吊るされた。

ウマとウシの頭部分を藁束に突っ込む。

取れないように工夫もする。

麦は長めでせよと長老が言った言葉は今でも覚えているという。

胴体ができたら足を入れる。

黒いツノが挿されたら完成だが作業はミニチュアの農具作りもある。

後半は食事を済ませてからも続けられた。

(H23. 4.29 EOS40D撮影)