マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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野遊び②in矢田丘陵

2011年06月29日 06時42分01秒 | 自然観察会
目覚めたときには雨が降っていた。

予報では午後から雨が降り出すことだったが集まる時間では雲間から晴れ間もみえる怪しい天気である。

雨が降っても自然観察会は実施する。

過去もそうだった。

雨天では観察もできんじゃろと思われるが雨であろうが自然に暮らす昆虫や野鳥は生きている。

どういう生き方をしているのか、それを観察することでその営みを発見するということだが、暴風雨や積雪の場合はさすがに中止としている。

そのようなややこしい天気だったので雨が降ればUターンすることにして出発した。

その場合のレクリエーションは少年自然の家の談話室でとなる。

保護者会はおよそ20人でスタッフは11人。

一年に一度は昆虫を観察しましょうとK先生も加わった。

先生が生駒で活動されているメンバーも参加された。

生駒休耕田クラブのTさんだ。

子供もおられるが本日は都合でお一人の参加となった。

ホトトギス、ホオジロ、ウグイスの鳴き声が聞こえてくる少年自然の家。

田んぼへ向かう道にはニワゼキショウが咲き乱れている。

風はさわやかに流れる。

そこにはすくっと立つキキョウソウも咲いている。



背丈は高く小さな紫色の花が風に揺れている。

これは日本産ではなく帰化植物だそうだ。

少年が手をさし示して「これね、カメさんが食べるんだよ」と言った。

こぼれるタネがカメのエサ。

家で飼っているカメにあげているという。

へぇー、そうなんだ。

子供に教えられる草花はオオバコの仲間のツボミオオバコ。

花冠がほとんど開かずにつぼんだままのような花。

彼曰く、それがタネらしい。



キキョウソウと同様に北アメリカ原産というからはびこったのはほぼ同じ時期だったのでは、と思ってしまう。

もう一人の少年はジョウカイボンを捕った。

種類が多いジョウカイボンを確かめようとしたが逃げられてしまった。

ジョウカイボンとは変わった名前だ。

K先生の話しによれば、それは平清盛の別名であって、出家して坊さんになったときに法名浄海坊と名乗った。

浄海坊はあるときに高熱におかされて身体が熱くなった。

その後に亡くなったという。

ジョウカイボンは火傷をするぐらい熱いといわれてきたことから「浄海坊の熱病」が転じてジョウカイボンと呼ばれるようになった。

ところが犯人の昆虫は別にいた。

実はアオカミキリモドキだったと話される。

今回の観察ではアオカミキリモドキは発見できなかったが体液が皮膚につくとミミズ腫れになるので注意しましょう。

甘い香りが漂うスイカズラ。



食べられる紅い実はクサイチゴ。

甘い実に人が群がる。

そこにはナワシロイチゴもあったが・・・。

傍らには落下した桐の花があっちこっちにある。

先週には木の上で咲いていたという。

アメを呼ぶアマガエルが鳴きだした。

怪しくなってきたかな。



ウスバキトンボ・・・ではなくシオカラトンボのメスを捕まえた子供たち。

出始めらしい。

先月に県立橿原考古学研究所で講話されたことを思い出した。

たしか6月から初夏にかけて東南アジアから日本にやってくると。

今年は早いのだろうか。

コゲラが鳴きながら飛んでいった。

その林の葉っぱに翅を広げた白いものがいる。

べったりとくっついているようだ。



これはヒメシャクの仲間。

その名のとおりシャクトリムシが成長した姿だ。

このヒメシャク翅の波打つ文様は美しい。

前後翅の黒点が目立つことからどうやらウスキトガリヒメシャクのようだ。



シロツメクサの葉っぱは三つ葉。

目を凝らしてみれば四つ葉もある。

四枚もんを見つけたと子供の歓声に我も我もと視線が集中するシロツメクサ。

明治のころ(江戸時代の説もあるが戦後かも)に輸入品が動かぬように梱包の際に品物の隙間へ詰めた乾燥草として使われていたことからその名がついたという。

まさに詰め草である。



ゲンノショウコの花はとても小さい。

特徴ある葉っぱは若いころが要注意。

なにかって。

それはトリカブトととてもよく似ているのだ。

ゲンノショウコは薬草になるがトリカブトは有毒だ。

ひとつ間違うととんでもないことになる。



カラスビシャクが咲きだした。

山間部の畑ではよく見られる可愛い花。

とはいっても花らしくない。

でもその姿が愛らしくてしょうがないのだ。

仏炎苞の内部にある肉穂花序は破裂しないことには見えない。

花はなくとも三枚葉があちこちにあるのでこれからはもっと咲くことだろう。

近くにはハハコグサが咲いていた。



ハハコグサと呼ばれるが「母子草」ではない。

古名ではゴギョウ(御形)だ。

ゴギョウ(ハハコグサの若芽)、ハコベラと続けば、そう、春の七草の一つである。

向い側の林の傍にはハチク(淡竹)がニュキニョキ。



ハチクの筍は孟宗竹よりもアクが少なく美味しい。

孟宗竹は土中に埋もれている状態で見つけださなくてはならないがハチクは成長した姿で採れる。

それほどアクがないということだ。

この間も近所の人が持ってきてくれたので味わったばかりだ。

ここからもう少しいけばギンランが見られる場所だ。

先週の下見では白い花がみられたという。



その残が少しばかりあった。

開花の時期はとても短い。

観察した距離はそれほどではない。

1kmも歩いていない短い距離なのだ。

畑ではもうすぐ田植え時期になる。

トラクターで荒起こしをして田んぼに水を入れる時期がそろそろやってくる。



その時間帯には暗雲が立ち込めてきた。

どうやら寒冷前線が近くまでやってきたようだ。



モンシロチョウの合体を見届けて戻ったころはポツポツと雨が降り出した。

と思った瞬間に風は強まり雨も吹き荒れる。

用意した雨具を身体に着けても雨に包まれた。

仕方なく途中で雨宿りするも激しさは留まらない。

バケツをひっくりかえしたような雨に衣服や靴はグッショリ状態。



やまちゃん先生とウメちゃんが車で往復する避難救助隊活動のおかげで無事に自然の家に辿りついた。

判断がとても難しい観察日だった。

その後も雨が降る日は続き、5月26日には近畿地方も梅雨入り宣言がだされた。

(H23. 5.22 EOS40D撮影)
(H23. 5.22 SB932SH撮影)