私のアルコール嗜好は、ジンかワインで日本酒は嫌い。
日本酒嫌いは子供の頃に遡る。当時父親が勤めていた会社の社宅に住んでいて、偶然会社の若い男と顔を合わせたことがあって、その男の息が日本酒臭く胸がむかむかした記憶がある。
それと、会社勤めで春、秋の社員旅行での宴会。さかずきをさされたり返杯したり、好きでもない相手が口をつけて飲んださかずきを受けるのがイヤでぐっと我慢したのが日本酒嫌いになった。
勢い洋酒へと嗜好が向いた。普段はジンのレモン割りを愛飲。ピザとかパスタの夕飯時にワインを飲むか、外食でイタリアンかフレンチのときは当然ワイン。
で、ワインについては、飲みはじめ頃はなんか構えていて特別の飲み物という感覚だった。ワイン関連の本などを読んでいたせいもあって、レストランでワインをボトルで注文すると、ウェイターがやってきてワイングラスに注文のワインを少量注いで待っている。要するにテイスティングだが、それが非常にぎこちなかった。
とにかく嫌な儀式だと思っていたところ、1947年3月10日生まれのアメリカのジャーナリストであり、24年間にわたりシカゴ・トリビューンでコラムニストを務めたボブ・グリーンの著書“マイケル・ジョーダン物語」の中の一節が気持ちを落ち着かせてくれた。それにはこうあった。
「これを何かにたとえるとすれば、高級レストランでウェイターにワインを注いでもらうあの場面だろう。最初の一杯がグラスに注がれ、ひと口味わうか匂いを嗅ぐかしてワインの良し悪しを評価するときである。
たいていの人は、そのワインがいいか悪いかなど全く分からない。しかし誰もが、ちょっと味わうかあるいは匂いを嗅いだあとで、たいてい二、三秒おいてから、少々ぎこちなく愚かな言葉を口にする「大変結構です」” という具合で喜劇的な場面だと断じていたので、なんだかほっとした記憶がある。
それにもっとワインが身近になったのは、映画からだった。その映画は2004年度の「サイドウェイ」だ。これは結婚する中年男と友人との独身最後のはめはずし旅行で、ワイナリーめぐりをするというお話。
ポール・ジアマッティとトマス・ヘイデン・チャーチの二人連れが主な配役。その中でテイスティングのやり方を解説する場面もあって、気に入った映画となった。今ではあの滑稽な儀式も気にならなくなった。
ついでながらこの映画は、アカデミー賞の脚色賞を受賞しているし、全米批評家協会賞で助演男優賞をトマス・ヘイデン・チャーチ。助演女優賞をヴァージニア・マドセンと脚本賞をそれぞれ受賞している。ほかにも6っの団体の映画賞を受賞している。
ワインが小道具として使われた映画が007だ。題名は忘れたがスパイの身元がばれるという状況で使われていた。たしかオリエント急行の車内じゃなかったか? 料理にワインを合わせるというのがミソだった。それを間違った選択をして身元がばれるという話し。
カクテルはどうだろう。私にはもうカクテルは強すぎて飲む気力がない。有名なカクテルといえば、ギムレットかな。
レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説「長いお別れ」の中で、フィリップ・マーロウに言った「ギムレットには早すぎる」が有名。強い酒を飲むにはまだ早い宵の口という意味らしい。
フィリップ・マーロウといえば、ハンフリー・ボガードですがね。このレシピは、ジン(3/4)ライムジュース(1/4)をシェイクして出来上がり。
もう一つは、カクテルの王様といわれるマーティーニだ。ドライ・ジン(4/5)とドライ・ベルモット(1/5)をステアすれいいだけ。
マーティーニも映画と仲がいい。マリリン・モンローの「7年目の浮気」や007ジェームス・ボンドが好んで飲んだカクテルという。欧米の女性の中には、着ている服とカクテルの色を合わせるという人もいると聞く。
さて、ボーイフレンドか恋人にカクテルを勧められたら用心して飲んだほうがいい。口当たりがいいから飲みすぎて困ることになるかもしれない。目が覚めたらロイヤルパークホテルだったとか。