東大の教授で公共経済学(スティグリッツの名著あり)がご専門のようである。無駄を「絶対」と「相対」、「結果としての無駄」に分け、「絶対的な無駄はコストの比較なしに定義できるとある。次の相対的無駄は公共サービスの便益がその財政調達費用(コスト)より小さい」とし、更に「結果としての無駄」として「事前には必要な歳出が事後的に不必要」としている。例示は<o:p></o:p>
① 絶対的な無駄(1):公共サービスの質を落とさないで削減できる歳出<o:p></o:p>
② 絶対的な無駄(2):歳出自体がマイナスの便益(過剰な公務員の福利厚生費用、諫早湾の干拓 等)<o:p></o:p>
③ 相対的な無駄: コストが掛かりすぎの青函トンネル等<o:p></o:p>
④ 結果としての無駄:大きな災害への備えで見積り違いによる無駄<o:p></o:p>
なかなか良く分類されている。<o:p></o:p>
私なら、マトリクスで、縦軸で政策の評価を、「マイナス効果」か「非効率」に分類し、横軸が「運営(フロー収支)」、「投資(ストック)」 に分けて分類したい。「マイナス・運営」が③赤字運営の設備、「マイナス・投資」②諫早湾のダム、「非効率・運営」①高すぎる運営、「非効率・投資」④事業性・効率性に欠けた投資(調査が不十分でバイアスが掛かっているもの)と分類したほうが分かりやすいと思うがどうだろう。<o:p></o:p>
著者は「第七章 無駄を削減する方法」で無駄をとりまとめている。但し、前記分類との相関が明らかでない。無駄の分類をしたなら、その結果、対処方法など連続性が欲しい。(できれば検討過程のフローがあれば当方のような浅学菲才には助けとなる)<o:p></o:p>
このような著作はこれからの低成長時代に効率的な公共投資はなにか、小さな政府とは何か、地方行政とは何かに大いに寄与する。もはや大型プロジェクトでなく、小さく、あるものを使いながら、地道に良くして行く政策が求められよう。<o:p></o:p>