GE帝国盛衰史(トーマス・グリタ、テッド・マン)もあり、https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/f424577192cf205d94be39d6438ba1ca この中には、GEキャピタルは本業の信用によりCPの低利調達ができたのが優位性、保険事業で破綻した。
さらに参考として https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/40023f09bc6c17f5347d1ac53354b04e
強欲CEOが成り上がった過程を、経済変動(特にレーガノミクス)とともに分析した経済と産業育成の観点が貴重だ。知見は:
・企業の生産性向上と賃金の連動があり、福利厚生の企業文化があり1922年GE社長のジェラルド・スウォーブは「福祉資本主義」とした
・1948年~79年まで労働生産性と給与は歩調を合わせ伸びた
・1970年、ハイエク、フリードマンの株主(利益)至上主義、1976年Theory of Firm マイケル・ジェンセンとウィリアム・メックリングがプリンシパル(株主)、エージェント(経営者)による株式利益の最大化とCEOの株式による役員報酬のシステムを提唱
・1978年 ロバート・ポーク The Antitrust ParadoxとレーガンのM&A緩和により大企業の更なる巨大化と金融規制緩和が起こった
・1981年 ウェルチCEO アンチ愛社精神キャンペーン、人材はコストとしてカット、ダウンサイジングで費用を押さえ利益を増す
・1985年RCAを買収し、NBCを手中に収める
・バイタリティ・カーブ(活力曲線 https://en.wikipedia.org/wiki/Vitality_curve )、一般には、スタック・ランキング、ランク・アンド・ヤンクにより下位10%を退職、自然に人材費用を減じ、人生に機会を与えるとした、あわせてアウトソーシング(オフィスワーカーも正社員と派遣に分かれた)
・コスト削減と売上増進に向かい、組織に蓄積された記憶を失った、「惨めな気持ちで家路に」
・ウェルチはいじめっ子、「罵声合戦方式」
・GEキャピタルはGEの格付けを利用し、無秩序な金融事業により「オンデマンドで利益」を生み出し利益の安定を図った
・自社株買いによる株価上昇(2003年~12年ではS&P500で利益の54%、配当は37%)
・1990年代には85万人の雇用が失われ、不安が広がった、対してCEOは平均従業員の約20倍(65年)だったがウェルチは100~200倍となった、ドットコム・バブル崩壊後グリーンスパンが「根拠なき熱狂」と指摘、GEの株価上昇をSECが利益調整と疑う→ウェルチ引退
・1997年ウエイスト・マネージメント粉飾決算、2001年エンロン破綻とアーサー・アンダーセン廃業、2002年タイコ・インターナショナルの破綻、2002年にワールドコム破綻、2002年フレディ・マックの粉飾決算、2005年AIGの不正
・ウェルチの末裔は同じ手法をとったが、時代が変わり、業種も違う、GEキャピタルがない
・2008年4月GEの利益7億ドル下回り、株価12%下落、GEキャピタルが利益を出せなくなった
・ボーイングにもGE出身のジム・マックナーニがアメリカン航空がエアバスA320neoに変更を受け、737Maxを急遽開発、MCAS(AOAセンサー頼り)が誤動作し、2回の事故発生
・2018年GEキャピタルの保険事業関与などで株価下落し、ダウ平均の構成銘柄から外れる
・GEの負の外部性:ハドソン川PCB汚染、レイオフ、政府を騙しての節税
・ウォートンのピーター・カッペリによると「レイオフは企業業績を向上させない、短期的な会計結果を高める以上の有効な根拠はない」
・アマゾンなどでは機会が人間を管理、ギグワーカーがフルタイムの職種
・ウェルチズムとしてバイタリティ・カーブは今なお使われ、協調を阻害している
・企業数は半分に、寡占化進む
・賃金の低迷による「絶望死」、CEOの給与との格差拡大
・ユニリーバの家族経営回帰、ペイパルの雇用者支援がウェルチズムを越えて出現
・対応策として筆者の提言は(他の経済書とつながる要素が多いが)
①賃金と福利厚生の向上と従業員のアップスキリング
②利益や株式の共有と長期的思考、取締役会に従業員を配置
③最低賃金の引き上げ および 役員報酬の上限設定、増税
④反トラスト法の強化:寡占化の防止
面白くためになる、当面、この改革にはトランプ対民主党の争いが焦点となろう