千葉繁の「造化機論」という明治8年にJames Ashton原著が翻訳された「生殖器、性器」などをテーマとした本が春画より性的という位置付けでベストセラーになったというもの。
「造化機論」の内容より、千葉繁の人物を探るのが本著の内容で、はっきり言ってつまらない。当方としては「造化機論」がどうしてそんなに流行ったのか、世情や要因を知りたい。
筆者は沢木耕太郎「キャパの十字架」に触発されたとあるが、はるかに出来が悪いのはキャパの「崩れ落ちる兵士の写真」が有名で既知のものに対し「造化機論」は何か分からない。定義があまい。ミステリでいうとフーダニットだ。
「伝説のどりこの」は風俗的流行を追ったものでは出色だった。これは筆者自ら足を運び、味わったのが大きい。このような「何で流行ったか」のホワイダニットが面白い。
http://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/569b14ca95d7a038b11fc7a0b255ad53
筆者の文体や引用事例は、よく言えばくだけた、普通だと俗っぽく偽悪的だ
時間を無駄にしたと感じた本で風俗研究以外にはお薦めできない