先日読んだNETFLIXの歴史をまとめた「NETFLIXコンテンツ帝国の野望 」(ジーナ・キーティング)が全く面白くなかったが、本作は組織管理のマネージメント本でCEOとINSEAD教授の共著で面白い。急成長の会社をさらに成長させる風土は、シリコンバレーとボストン郊外R128 「「現代の二都物語 なぜシリコンバレーは復活し、ボストン・ルート128は沈んだか」(アナリー・サクセニアン)を思い出す。NETFLIXに比べればマイクロソフトも旧式の企業に見える。
しかし、NETFLIXの成長はここ10年程であり、これがずっと続くかと思うと疑問だ。映画を見るという受動的楽しみが継続するとも思えない。メディアとしても本、新聞、ラジオ、TV、インターネットと変化した。しかし、著作は面白く、知見は:
・能力密度を高める、率直さを高める、コントロールを減らす。3段階あり、第3段階では能力密度・率直さを最大限に、コントロールを撤廃するに至る
・チーム・メンバーで足を引っ張るのがいると30~40%成績が下がる
・私心のないフィードバックが高いパフォーマンスに、ガイドラインは4A:Aim to Assisit, Actionable, Appreciate, Accept or Discard で意見を言ってもらい、受け入れる社内文化→究極の360度評価が定常的に行われる、ストレスに強くないと生き延びられない仕組みだ
・自由を与えれば責任感が高まる、承認を不要に:しかしパフォーマンスを監視している
・個人に最高の報酬を払い定着、しかし市場価値や上司の「この仕事での」パフォーマンス評価(キーパー・テスト・プロンプト)で確認→成果と協調の両面から評価される、気が抜けない
・イノベーション・サイクル:「反対意見を募る」・「アイデアを周知する」、「試してみる」、「情報に通じたキャプテン」として賭けにでる、成功は祝杯・失敗は公表(大騒ぎしない)
・キーパーテスト:辞めると言って遺留するか、スター・プレイヤーを探すか、スター・プレイヤーを雇う方が給与も成果も効率的
・社内競争で下位10%を解雇する仕組み(スタックランキング)は社員の協力を妨げチームワークを阻害する
・コントロール(上司指示)とコンテキスト(仕様の理解)
・業務改善計画(PIP)、重要業績評価指数(KPI)、目標管理制度(MBO)などは、既存の会社とあまり変わらない、成果主義の徹底と言ってよい
・カルチャー・マップとして、日本の特性は:コミュニケーション:ハイ・コンテキスト、評価:間接的なネガティブ・フィードバック、リード:階層主義、決断:合意志向、信頼:関係ベース、見解の相違:対立回避型、スケジューリング:直線的な時間
結局は、選別される人事体系で、有能なものが残る、協調と賭けの両方で評価される極端な成果とマネージメント評価主義だ。給与が高いのもむべなるかな