海遊館(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%81%8A%E9%A4%A8 )の事業計画とプロジェクト・マネージメントに関わった経験がある。その知見とMITでのウォーターフロントをまとめたのが‘91年の新建築別冊 「ウォーターフロントの計画とデザイン」( https://drive.google.com/file/d/11iQaW8FH0qO1tCP6tYxbuMx0s0OGYxL4/view )だ。Pdf 21P(本文P141)に、図8 施設のライフサイクル・マネージメント戦略として水族館などの建替え問題を既に提起している。これは、ボストンでは’69竣工のニュー・イングランド水族館の老朽化指摘があったためだ。
同じく、ケンブリッジ・セブン(C7A)設計の海遊館も建替えの準備が必要だったが、代替地がないのが問題なのと規模が大きすぎるのが難点だった。( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/4023865f11384491f3167e899748dd9a?fm=entry_awp )
水族館というのは建築的にはランドマークで集客のマグネットだが、大きな生け簀であり、見て楽しい魚類を如何に生かすか、繁殖させるか、教育に用いるかという機能がある。投資として見ても、設備とアクリル板の費用が大きい。
葛西臨海水族園( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%9B%E8%A5%BF%E8%87%A8%E6%B5%B7%E6%B0%B4%E6%97%8F%E5%9C%92 )の建替えも計画されている。2014年の目玉展示であったマグロの大量死( https://www.sankei.com/life/news/160407/lif1604070027-n1.html )が記憶に新しい。現在は問題がないようだが、水質設備に問題があるようにも思える。( P6 https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000043094.pdf )Wikiによると「飼育用の海水は八丈島沖の海水を船とトラックで輸送している。~1ヶ月に使用する海水は約3,000tにもなり、ほとんどサメの水槽やマグロの水槽など大型水槽に使われる。」とあり、完全な循環型ではない。また、人工海水を用いた循環型のショープール型都心水族館はオリックスと大成建設で事例が多い。( https://www.orix.co.jp/grp/company/ir/individual/investment/aquarium.html )
また、沖縄などきれいな海の水をろ過して使う方式でもない。海遊館では和歌山の海水を入れ、底面ろ過とオゾン滅菌で5,400tの大水槽を管理している。(ちなみに葛西の大水槽は2,200t https://japan-web-magazine.com/japanese/aquaria/index.html#i-3 )
建物というよりは、新規の海水の補給など設備計画に当初から問題があるようだ。魚類がうまく生きていけない水族館が問題だと思う。生命と出会い、懐かしさや驚きを感じるのが水族館の矜持だ。
なお、当方が水族館についてまとめたブログは https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/s/%E6%B0%B4%E6%97%8F%E9%A4%A8 など。ご参考まで
本来なら、水族館やウォーターフロントについてフォローすべきだが、バブル以降は都心オフィスなど開発と供給、都心クラスターの研究に転向したため、発言を控えていた。
バブルの頃はMIT Sloanにいて、海遊館の商業をラウス(フェスティバル・マーケット・プレイスの元祖)の子会社と海遊館メンバーの通訳旅行をしたのも思い出だ
海遊館が開業して31年、相変わらずの日本経済と社会がコロナ禍で変わろうとしている