都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

悪意の科学(S・マッカーシー=ジョーンズ):ゲーム理論と生物・薬学からの悪意と効用を説く

2023-09-10 02:45:49 | マクロ経済

 Spite and the Upside of Your Dark Sideが原題

 ピンカーの理性重視( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/5d3abf0d306a0972609567131ea98fdb  https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/0a0470b08fea4ec903991c0cd52138e3 )

 同様の集団内での共感と他集団への憎悪は https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/40023f09bc6c17f5347d1ac53354b04e にも指摘されている

 本書は悪意をゲーム理論や遺伝などから分析している

 知見は:

・他者との交流の4面:①協力、②利己、③利他、④悪意

・最後通牒ゲームで悪意があるのはWEIRD(Western, Educated, Industrialized, Rich, and Democratic)に多い。コストがかかる「罰」(拒否されると何ももらえない)

更に発展させた独裁者ゲームはオファーを受けるしかない方式で公平と不公平に分かれる

・最後通牒ゲームで拒否した人(悪意がある人)はホモ・レシプロカンス(公平)とホモ・リヴァリス(競争)に分かれる

・悪意のある人は「他者より不利になることを嫌い、有利になることを好む人」で、「競争しない」が「競争に強い」

・D(Dark)Factor:サイコパシー(精神病質)、ナルシズム(自己愛)、マキャベリズム(権謀術教)→自己愛が強く、双極障害、支配的な問題児は何故か、権力(上司)におもねる平目が大企業には多いように思う

・正義もコストがかかる:怒りと罰することのコスト

・セロトニンはコストをかけて不公平な行動を罰する意欲を減らす→薬剤の効果

・遺伝的な「悪意」:競争相手を不利に、血縁者に利益を

・シャーデンフロイデ(Schadenfreude)他者の不幸を喜ぶ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%87

・利己主義を抑えるのは、民主主義の組織や取り決め:共有地の悲劇防止など

・ヒラリー・クリントンには「投票したくない」、つまりは「勝たせたくない」悪意が、トランプ当選につながった。BRIXITもECのイギリスを見下した態度に対する「悪意」の結果

・達成不可能と思える「ストレッチ目標」には「反支配的(ブレイブ・ハート)」な性向から目標達成に「戦う」動きがある(アポロ計画など)

・格差が大きい場合、富裕層は暴徒を恐れる→政治に頼る

 

 読み物として面白いが、まとまりがいまひとつ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする