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中国が初めて世界に問う世界戦略「一帯一路」
南シナ海で我が物顔の中国にASEAN諸国は追随するのか? 2014.12.01(月) 阿部 純一
2014年10月の「18期4中全会」を無事に終え、11月に北京でAPEC首脳会議を主宰した習近平主席は、かつて小平が「
改革開放の総設計師」と呼ばれたことに倣い、「改革開放の新設計師」にまで祭り上げられた。「人民日報」(11月13日付)が
「改革開放の新設計師」という名称を習近平主席に冠したのである。まさに習近平主席への権威付けは「小平並み」になってきたということだろうか。
実は、筆者は中国の友人から9月の段階で「新設計師」の話を聞いていた。ということは、おそらく中国の内部で、夏辺りから習近平主席に対する「新設計師」の称号は練られていたのだろう。はたしてこの称号が定着するかどうか注目したい。
中国をユーラシアにおける経済発展の中心に
ところで、習近平主席は10月11日、APEC非公式首脳会談で演説し、「(
近隣諸国との)相互接続(connectivity)の協力は中国のシルクロード経済ベルト・21世紀海上シルクロード(一帯一路)構想の核心である。中国は志を同じくする友人が協力に積極的に参加し、共同で『一帯一路』をみなの協力の道、友好の道、ウィン・ウィンの道に築くことを歓迎する」と述べた。
習近平主席が力説した「一帯一路」とは何か。これは2013年9月から10月にかけてそれぞれカザフスタンとインドネシアを習近平主席が訪問した際に明らかにされた構想である。
陸上の「シルクロード経済ベルト」は、中国沿海、中原、西北を抜け中央アジア、ロシアを経て最西端はヨーロッパ西海岸に至る、鉄道・道路による経済開発構想とされる。一方、海上の「21世紀海上シルクロード」は、陸上ほどルートは明確には示されていないが、
南シナ海からインド洋に抜け、中東から地中海をうかがうものと理解できよう。ASEAN諸国との自由貿易、さらに中東・アフリカからの資源輸入ルートの確保が中国の狙いだろう。
中国は経済大国、政治大国、さらには軍事大国と言われてきた。しかし、これまではあくまでも「東アジア限定」での「地域大国」にとどまっていた。習近平主席の「一帯一路」構想は、そのスケールから言っても、
中国が初めて世界に問う「世界戦略」であると見ることができる。中国をユーラシアにおける経済発展の中心にしようとする意気込みが感じられるとともに、もしこの構想が軌道に乗れば、
世界の地政学上の構図が一変する可能性すらある。
一帯一路の成功が困難な理由
しかし、この「一帯一路」構想の成算はどのくらいあるのだろうか。いや、それ以前に中国はこれまでの「西部大開発」で行ってきた地域開発の成果と反省を総括しているのだろうか。同様に、南シナ海の領有をめぐるASEAN諸国との対立を解消する妙案を持ちあわせているのだろうか。そのようには見えないとすれば、成算は立たないはずだ。
同時に、中国はこの「一帯一路」構想を中国の地方経済の活路と位置づけていると思われる。中国経済がかつてのような高成長を望めず、中央政府も地方政府の財政赤字を補填できない時代に差しかかりつつある現在、中央アジアをにらむ西域諸省、ASEANをにらむ南部諸省にとって、「一帯一路」構想は願ってもないプロジェクトのはずだ。
ところで、中国の「西部大開発」とは、中国西域(甘粛省、青海省、新疆ウイグル自治区、チベット自治区)の地下資源開発を軸に、1980年代から行われてきた経緯がある。筆者自身、1992年と2007年の二度にわたって新疆ウイグル自治区を訪れたことがある。自治区の首都・ウルムチは、15年の間にまったく様変わりし、近代的大都市に変貌していた。
ならば、「
西部大開発」は成功したのか、といえば答えは「ノー」だろう。要は、中国の人口の大多数を占める漢族が西域に進出し、開発し、その成果を我が物にしただけで、土着のウイグル族はその恩恵を満足に受けてはいない。ウイグル族によるテロ活動が頻発しているのがその証拠である。
地域の文化を尊重せず、宗教に敬意を払わず、漢族が開発を独占し、その利権も独占するならば、「シルクロード経済ベルト」構想においても中央アジアで中国の開発は拒絶されるはずだ。たとえその地域の政府が受け入れても、中国がアフリカでやったような「援助」の名目で労働力まで持ち込み地元住民に恩恵をもたらさないやり方では、反発しか受けないだろう。
海上の「21世紀海上シルクロード」はもっと成算が立たない。南シナ海をめぐるASEAN諸国、とりわけフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイなど排他的経済水域の主張が重複する国々との関係をどうするつもりなのか。南シナ海における紛争予防のために交渉が続けられている「行動規範」についても、中国の姿勢は消極的である。この問題が解決しなければ、南シナ海は「平和と協力の海」にはならない。
ASEAN諸国に脅威を与える南シナ海の埋め立て工事
実は筆者は、習近平主席にとって「一帯一路」は当面のスローガンであって、陸上と海上の両方ではなく、とりあえずは陸上の「一帯」を優先し、海上の「一路」は遅れても構わないと考えているのではないかと邪推している。
ロシアとは戦略的に誼(よしみ)を通じているし、中央アジア諸国は貧しいので中国の援助や投資を無条件で歓迎するのは間違いない。しかし、ASEAN諸国はそれなりに豊かな国もあり、米国や日本と長年にわたる結びつきもあって、中国への対応もバランスを取りながらやっているから、中国としては主張を押し付けにくいはずだ。
しかし、筆者が邪推したのは他でもない、中国が南シナ海で実行しているサンゴ礁の大規模埋め立て工事にある。中国は南シナ海南沙諸島の永署礁と赤瓜礁の2カ所で大規模な埋め立て工事を実施中であり、その狙いは軍事基地化であるのは間違いない。中国にとって島の埋め立てには前例があり、南シナ海永興島に大型爆撃機の離発着が可能な3000メートル級の滑走路を建設している。今回埋め立て工事を実施している2カ所は、永興島よりはるか南に位置しており、南シナ海の制海権、航空優勢を中国が確保しようとする意図が見て取れる。
この中国の埋め立て工事を分析した中国語の軍事問題専門誌「漢和防務評論」014年9月号によれば、その狙いはマラッカ海峡から北上する米海軍艦船の阻止であり、南シナ海に近づけないようにすることであり、かつオーストラリア経由での
米海軍の接近阻止をも狙ったものだとされる。
2カ所のサンゴ礁がどのような基地に変貌するかについては、同誌によれば中国は海軍と空軍が同じ飛行場を共有した経験がないことを挙げ、永署礁、赤瓜礁は海軍、空軍が住み分けると予測している。同誌が台湾国防部の情報として、すでに赤瓜礁はサッカー場17個分の広さにまで埋め立てが進んでいると紹介しているが、筆者もネット検索で映像を確認したところ、赤瓜礁の埋め立てはかなり進捗していることが分かる。まさに中国は南シナ海で「
不沈空母」を建設していると言える。
このように、中国が南シナ海を「中国の海」にすべく、米海軍を寄せつけない基地建設を進めながら、ASEAN諸国に「21世紀海上シルクロード」構想を持ちかけても同意を得ることは難しいと言わざるをえない。
狙うのは「アジアの盟主」の地位
しかし、南シナ海を中国が完全に牛耳ることができる態勢が整備され、米軍も自由にアクセスできない事態が生じれば、ASEAN諸国は中国に従わざるを得なくなるかもしれない。「21世紀海上シルクロード」構想は後回しにされる公算が高いが、成算がないわけではないのである。
その一方で、北京のAPEC首脳会議の機会を捉えて習近平主席はオバマ米大統領を破格の待遇で迎え、両首脳は11月11~12日にかけて食事も含めて約10時間もの会談を行うなど、米中の融和をアピールしてみせた。
12日の首脳会談では、習近平主席は「
事実が証明しているように、米中の新型大国関係構築は両国人民の根本的利益に合致し、アジア太平洋地域と世界の平和、安定、繁栄の維持に役立つ」と述べ、
オバマ大統領も「
私は習主席の主張と提案を非常に重視しており、交流と対話の強化に賛同し、理解と相互信頼を増進し、互恵協力を拡大し、意見の相違を建設的に管理、コントロールし、新型大国関係を共に推進する」と応じた。
こうして、
米中の新型大国関係は双方合意のものとなった。だが、習近平主席の本音は違うところにあるように思われる。
今年5月、上海で開催されたアジア相互協力信頼醸成会議の場で習近平主席が語った「アジア新安全保障観」、端的に言えば「アジアの平和はアジアの人々が守る」ことが本音であるとすれば、アジアの安全保障への米国の関与を中国は快く思っていないことになる。米中の新型大国関係は、中国がアジアの盟主として周辺諸国から認知されるまでの時間を稼ぐ「不戦協定」のようなものかもしれない。
習近平主席にとって「一帯一路」構想は、まさに中国をアジア、さらにはユーラシアの盟主たらんとする野心的なプロジェクトであることは間違いない。それを中国がカネに物を言わせ、力を背景に強引に推し進めるようなことになれば、絶対にうまくいくはずがない。習近平主席にどのような成算があるのか、「新設計師」としての真価が問われる。
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● この様に兵法達者な中共は、硬軟を使い分けて相手を籠絡してきます。しかし武人である以上
最終的には軍事力を背景に来ることは、動きを見ていれば馬鹿でも判ります。
● 東南アジアの国々は全ての国がこのような中共の本質を理解していますが、当のアジアの大国である
日本人の多くが、洗脳でこれを理解できない。もっと悪い事には、平和の名のもとに
組織で積極的に、自ら洗脳を希望する事である。
● 人間にとって如何に空念仏が力を持つかの典型例です。シルクロードとは、諸国民の繁栄の為の
道であり、一国の野心の為の物ではないことが、武人には判らないのです。
● だから陸のシルクロードでも失敗が見え隠れしているのです。そもそも他国の企業やお金や技術や
人材等を利用しながらの、他国への強引な押し付けは、傍若無人な武人の典型です。
● いつも書いているように、第1回目が成功すれば、2回3回と事は続くのです。従って抑えたいならば
第1回目の時点で、完全に芽を潰さなくてはいけないのです。従って現在中共の東南アジアへの
接近は潰すのが、日本の戦略であることは、論を待ちません。
● その為にも、海の忍者たる潜水艦を各国へ供与することは、非常に大切になります。同時に彼らは
不沈空母を作っているわけですから、ブークミサイル等の配置も大切になります。
● そもそも、目覚めた国を陸上戦力で抑える事が出来ないのは、キューバ、朝鮮戦争、ベトナム戦争、
最近では中東でも元の木阿弥となっていることを見れば、分かります。
● つまり、東南アジアの戦略は、空海の接近阻止で当分は十分という事です。海は日本の海の忍者が
大活躍するでしょうし、空はブークミサイル等が活躍できます。
● 領海侵犯の艦船は黙って沈めても良いですし、戦闘機などはウクライナの戦争で、ブークミサイルなどが
大活躍していますから、最高の接近阻止の戦いが出来るはずです。
● 更に東南アジアがそれ以上の戦力を持てるように、経済的に日本の経済圏へと強力に組み込む
事も大切です。軍経合わせてこそ、封じ込め戦略は成功できるのです。
● その意味でも、日本の経済圏であるタイが中共に接近しているのは由々しき問題です。
日本には世界最高の企業群があるのです。これを遊ばしては駄目です。精密で
世界一優秀な武器を作り、直ちに東南アジアへ輸出しましょう。
● 円安のメリットは、最大限に生かすべきです。
● 海が無理とわかれば、再び陸のシルクロードを目指すでしょう。日本の思う壺です。陸で
台頭するイスラムとの戦いで衰弱させるのが、日本の最大の戦略とすべきです。
人呼んで、シルクロード消耗作戦。
玉手箱作戦。”南無阿弥陀仏。