今年のGWは予報では雨が降らないはずではなかったのか。3限の授業を終えて、TAのI君と「メーヤウ」で遅い昼食(インド風ポークカリーとラッシー)をとりながら、雨の中、傘を持たずに走る学生たちの姿を窓越しに眺める。私は天気に関係なく、鞄の中に一年中折りたたみ傘を入れて持ち歩いているので、不意の雨に濡れながら走るということはまずないのだが、ごくまれに、折りたたみ傘を使用した後に、別の折りたたみ傘を補充しておくのをうっかり忘れて、そういう目に遭うことがある。走っている方は大変だが、傍からそれを眺めていると、一種の風情が感じられる。安藤広重の「大はしあたけの夕立」の図が頭に浮かんだ。
食事を終えて店を出る前にケータイをチェックすると、論系の助手のAさんからメールが入っていて、「授業のあと、研究室に伺ってもよろしいですか」と書かれている。店を出たら、研究室には戻らずにそのまま帰宅するつもりだったので、用件を聞こうとAさんに電話をする。ところが電話番号の選択を間違えて、卒業生のAさんの電話番号を押してしまった(二人とも苗字の頭が「阿」で、しかも三文字の苗字なのだ)。「はい、Aです」という声を聴いてから、間違えたことに気づく。固定電話であれば、「あっ、間違いました。失礼しました」と言って切ればいいのだが、ケータイからケータイへ掛けているわけで、Aさんのケータイのディスプレイには私の名前が表示されているはずである。とはいっても、いまおそらくAさんは証券会社のオフィスでこの電話をとっているものと思われ、「やあ、ひさしぶりだね。元気にしてる?」とインフォーマルな話を始めるのもはばかられた。結局、なぜ間違い電話をしてしまったのかという説明をして、それで電話を切った。
今度は間違えないように助手のAさんのケータイに電話をする。電話では話しずらい用件のようであった。では、これから論系室の方へ行こうかというと、論系室でも話しずらい用件のようである。では、5分後に研究室で待っていますと言って電話を切る。一体、何だろう。何か不祥事でも発生した(しかしまだ発覚はしていない)のだろうか・・・サスペンス好きとしては、どうしても思考がそっちの方に向かう。研究室に戻り、しばらくするとAさんがやってきた。「どういう用件?」と単刀直入に尋ねると、先日私が依頼しておいた論系教員・学生(新2年生)の懇親会(企画中)の予算の件の報告であった。なんだ、そんなことか。わざわざ雨の中、私を呼び戻してするような話ではないではないか。そう思いながら聞いていると、その話が一段落した後で、「実は来月、結婚することになりまして・・・」と話し始めたから、思わぬ話の展開にびっくりした。それはそれは、おめでとう! それからわれわれは、延々と(2時間半にも及んだであろうか!)、彼女の結婚をめぐる話で盛り上がった。要するに、彼女としては、自身の結婚という私事を論系の先生方にどういうタイミングで報告したらよいのかわからず、次回の教室会議の場で伝えるのもおかしいような気がして、かといって全然知らせないのも、あるいは事後的に報告するのもやはりおかしいような気がして、とりあえずは論系の主任である私には話をしておこうと考えたのであった。さらに、彼女の気持ちを斟酌するに、私に話をすれば、私から他の先生方に話が伝わっていくだろうという考えも働いたのであろう。はい、そのお役目引き受けました。ブログにも書いちゃいますから(これで少なくとも安藤先生と草野先生には伝わったな)。
AさんはGWの後半、京都に行くそうで、「お土産は何がよろしいですか?」と聞かれた。今回の私のお役目へのお礼のつもりらしい。「では、八橋を」と私が答えると、「えっ、そんなものでよろしいのですか?」とAさん。旅のお土産の希望を人から聞かれたときは、安価、軽量、入手容易なものを答えるべしというのは私の人生のモットーの1つである。しかし、甘味同好会準会員のAさんの物足りなそうな顔を見ていたら、「もし時間に余裕があるようならば、村上開新堂のみかんゼリーを」と付け加えたくなった。池波正太郎がエッセーの中で絶賛していた品である。私はまだ口にしたことがなく、私にとっての幻の一品である。ただし、期間限定商品で、GW中に行っても手に入らない(オレンジ・ゼリーなら売っている)。「うん、八橋を。「聖」の餡の入った生八橋を」と私は重ねて言った。
食事を終えて店を出る前にケータイをチェックすると、論系の助手のAさんからメールが入っていて、「授業のあと、研究室に伺ってもよろしいですか」と書かれている。店を出たら、研究室には戻らずにそのまま帰宅するつもりだったので、用件を聞こうとAさんに電話をする。ところが電話番号の選択を間違えて、卒業生のAさんの電話番号を押してしまった(二人とも苗字の頭が「阿」で、しかも三文字の苗字なのだ)。「はい、Aです」という声を聴いてから、間違えたことに気づく。固定電話であれば、「あっ、間違いました。失礼しました」と言って切ればいいのだが、ケータイからケータイへ掛けているわけで、Aさんのケータイのディスプレイには私の名前が表示されているはずである。とはいっても、いまおそらくAさんは証券会社のオフィスでこの電話をとっているものと思われ、「やあ、ひさしぶりだね。元気にしてる?」とインフォーマルな話を始めるのもはばかられた。結局、なぜ間違い電話をしてしまったのかという説明をして、それで電話を切った。
今度は間違えないように助手のAさんのケータイに電話をする。電話では話しずらい用件のようであった。では、これから論系室の方へ行こうかというと、論系室でも話しずらい用件のようである。では、5分後に研究室で待っていますと言って電話を切る。一体、何だろう。何か不祥事でも発生した(しかしまだ発覚はしていない)のだろうか・・・サスペンス好きとしては、どうしても思考がそっちの方に向かう。研究室に戻り、しばらくするとAさんがやってきた。「どういう用件?」と単刀直入に尋ねると、先日私が依頼しておいた論系教員・学生(新2年生)の懇親会(企画中)の予算の件の報告であった。なんだ、そんなことか。わざわざ雨の中、私を呼び戻してするような話ではないではないか。そう思いながら聞いていると、その話が一段落した後で、「実は来月、結婚することになりまして・・・」と話し始めたから、思わぬ話の展開にびっくりした。それはそれは、おめでとう! それからわれわれは、延々と(2時間半にも及んだであろうか!)、彼女の結婚をめぐる話で盛り上がった。要するに、彼女としては、自身の結婚という私事を論系の先生方にどういうタイミングで報告したらよいのかわからず、次回の教室会議の場で伝えるのもおかしいような気がして、かといって全然知らせないのも、あるいは事後的に報告するのもやはりおかしいような気がして、とりあえずは論系の主任である私には話をしておこうと考えたのであった。さらに、彼女の気持ちを斟酌するに、私に話をすれば、私から他の先生方に話が伝わっていくだろうという考えも働いたのであろう。はい、そのお役目引き受けました。ブログにも書いちゃいますから(これで少なくとも安藤先生と草野先生には伝わったな)。
AさんはGWの後半、京都に行くそうで、「お土産は何がよろしいですか?」と聞かれた。今回の私のお役目へのお礼のつもりらしい。「では、八橋を」と私が答えると、「えっ、そんなものでよろしいのですか?」とAさん。旅のお土産の希望を人から聞かれたときは、安価、軽量、入手容易なものを答えるべしというのは私の人生のモットーの1つである。しかし、甘味同好会準会員のAさんの物足りなそうな顔を見ていたら、「もし時間に余裕があるようならば、村上開新堂のみかんゼリーを」と付け加えたくなった。池波正太郎がエッセーの中で絶賛していた品である。私はまだ口にしたことがなく、私にとっての幻の一品である。ただし、期間限定商品で、GW中に行っても手に入らない(オレンジ・ゼリーなら売っている)。「うん、八橋を。「聖」の餡の入った生八橋を」と私は重ねて言った。