フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月28日(水) 曇り

2008-05-29 11:55:18 | Weblog
  今日は牧阿佐美バレヱ団の10月の公演「ライモンダ」のチケットの会員先行前売開始日である。一般前売は6月18日からだから、それよりも3週間早く買えるわけで、このために会員になっているのである。昼頃、バレヱ団事務所に電話をして、公演初日(10月24日)のチケット(S席)を予約。「ライモンダ」は中世フランスを貴族の館を舞台にしたお姫様と十字軍の騎士の恋物語で、振付師マリウス・プティバ晩年の作品である。ライモンダはお姫様の名前で、もちろん、24日の舞台でライモンダ姫を踊るのはわれらが伊藤友季子である。
  郵便局へ行って『大菩薩峠』の代金を天牛堺書店古書センターへ振り込み、梅屋敷商店街の喫茶店「亜胡」で昼食(ハンバーグ定食と珈琲)をとってから、病院に母を見舞う。インシュリン注射のやり方もだいだいマスターしたようで、お腹の肉をつまんで刺すのだが、全然痛くないそうだ。おまえも覚えたらどうだというので、それが必要になったときに覚えるよと答える。帰宅して、鉢植えの花たちに水をやる。いつもは母がやっている仕事だ。勝手口に来た野良猫に鰹節と刻んだハムをご飯に混ぜて与える。これも母が毎日やっている仕事だ。なんだか定年後の人生の気分がする。
  夜、泉鏡花の戯曲『夜叉ケ池』を読む。面白かった。中里介山『大菩薩峠』の連載がスタートしたのと同じ大正2年の作品である。急速に都市化が進んでいた時代に、峠や山奥の池を舞台にした作品が書かれていたというのは単なる偶然ではないだろう。実際、柳田国男らの『郷土研究』が創刊されたのもこの年である。社会学を専門にしていると、ついつい都会を舞台にした作品にばかり目が向くが、都会と農村、中央と周辺、未来と過去、現世と異界、革新と保守、そういったさまざまな軸の上での微妙なバランスを保ちながら、社会は変動していくのであろう。