フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月15日(木) 晴れ

2008-05-16 11:34:11 | Weblog
  昼から大学へ。久しぶりの晴天。これが五月の空だ。東京駅でJRから地下鉄に乗り換えるとき、売店で「東京ばな奈」(8個入り)を購入。一度、食べてみたいと思っていたのだ。誰でもそうであろうが、「一度、○○してみたい」と思っていることの多くはそのまま日の目を見ることなく海の底に沈んでいく。先月、瀬尾まいこ『戸村飯店青春100連発』を読んだとき、上京した主人公が「東京ばな奈」を食べる場面があり、長らく海の底に沈んでいた「一度、東京ばな奈を食べてみたい」という思いが眠りから覚めたゴジラのように浮上してきたのである。3限の大学院の演習のときに学生たち(5名)と食べたが、予想していたものとはだいぶ違っていた。バナナがまるごとは入っている、あるいはバナナ風味のカスタードクリームが入っている、そのどちらかだろうと予想していたのだが、そのどちらでもなく、バナナのジャムに水飴をからめたようなものが入っていた。バナナの香りはするが、甘味はバナナ本来のものではなく水飴の甘味である。率直に言って、期待外れだった。人生の希望の多くは忘却されるか、さもなければ失望で終わるのだ。「一度、○○してみたい」リストの項目の一つにチェックが入ったことでよしとしよう。
  「メルシー」で遅い昼食(炒飯)をとってから、研究室に戻り、約束してあった基礎演習の学生3人と面談。基礎講義のコンテンツを見て、興味をもったコンテンツの教員にインタビューに行く(取材の成果をプレゼンに盛り込む)ことを課題としているのだが、今日の3人は私のコンテンツに関心をもったというわけだ。5限の時間を丸々使って話をしたが、話題が私のコンテンツの内容からだんだん離れていって、最後は人生相談的雑談になった。いつものことだ。自分とは異質の他者(同級生)と出会って、自分という人間について改めて考えるようになるのは、いまの時期の1年生にとってごくごく自然なことだ。自分と向き合い、他者と向き合い、そしてできれば、たくさんの本(他者が書いたものだ)と向き合ってほしい。

         
                     水たまりの木漏れ日