結局、今年のGWは天候に恵まれなかった(関東地方は)。こんなはずではなかったのに・・・と思っているうちに明日はGW最終日である。天気予報は晴れ(降水確率0%)となっているが、信じてやんないかんね。
土岐善麿(哀果)の短歌を少しばかり調べる。次回の大学院の演習(大正時代前後のライフストーリー)で各自が取り上げる作品をメールで申告するようにいっておいたところ、I君は石川啄木、斉藤茂吉、土岐善麿の三歌人を申告してきた。このうち善麿は、他の二人に比べると、私には馴染みが薄い。この際だからちょっとあたっておくことにしたのである。とくに印象に残った十首を年代順にあげておく。
露西亜巻の煙草を喫いつつ、
哀しみぬ、
露西亜へ行くは、いつのことぞも。 (歌集『黄昏に』明治45年)
手の白き労働者こそ哀しけれ。
国禁の書を、
涙して読めり。
革命を友とかたりつ、
妻と子にみやげを買いて、
家へかえりぬ。
りんてん機、今こそ響け。
うれしくも
東京版に、雪のふりいづ。
上草履。
午後の休みに出でて踏む、
銀座通りの、春の土かな。
労働をよろこぶ心を、ころすなかれ、―
夏の街路に、
口ぶえをふく。 (歌集『不平なく』大正2年)
人のよの不平をわれにをしへつるかれ今あらずひとりわが悲し
(歌集『雑踏の中』大正5年)
槍投げて大学生の遊ぶ見ゆ大きなるかなこの楡(にれ)の木は
(歌集『緑の地平』大正7年)
焼はらに茂りおひそふ夏草のちからをたのみ生きゆかんとす
(歌集『夏草』昭和21年)
冬凪の空ふかぶかしかくばかり簡素に生きて人間のある
(歌集『冬凪』昭和22年)
時計台の時計の針はいつも正午若葉すがすがしくけふもわが来つ
(歌集『春野』昭和23年)
土岐善麿(哀果)の短歌を少しばかり調べる。次回の大学院の演習(大正時代前後のライフストーリー)で各自が取り上げる作品をメールで申告するようにいっておいたところ、I君は石川啄木、斉藤茂吉、土岐善麿の三歌人を申告してきた。このうち善麿は、他の二人に比べると、私には馴染みが薄い。この際だからちょっとあたっておくことにしたのである。とくに印象に残った十首を年代順にあげておく。
露西亜巻の煙草を喫いつつ、
哀しみぬ、
露西亜へ行くは、いつのことぞも。 (歌集『黄昏に』明治45年)
手の白き労働者こそ哀しけれ。
国禁の書を、
涙して読めり。
革命を友とかたりつ、
妻と子にみやげを買いて、
家へかえりぬ。
りんてん機、今こそ響け。
うれしくも
東京版に、雪のふりいづ。
上草履。
午後の休みに出でて踏む、
銀座通りの、春の土かな。
労働をよろこぶ心を、ころすなかれ、―
夏の街路に、
口ぶえをふく。 (歌集『不平なく』大正2年)
人のよの不平をわれにをしへつるかれ今あらずひとりわが悲し
(歌集『雑踏の中』大正5年)
槍投げて大学生の遊ぶ見ゆ大きなるかなこの楡(にれ)の木は
(歌集『緑の地平』大正7年)
焼はらに茂りおひそふ夏草のちからをたのみ生きゆかんとす
(歌集『夏草』昭和21年)
冬凪の空ふかぶかしかくばかり簡素に生きて人間のある
(歌集『冬凪』昭和22年)
時計台の時計の針はいつも正午若葉すがすがしくけふもわが来つ
(歌集『春野』昭和23年)