8時、起床。年末のすき焼のときの肉が残っていたので、砂糖醤油で焼いてご飯の朝食。今日は私と妻と息子の3人で妻の実家(鷺沼)へ行った。途中、乗り換えの多摩川駅のホームでずっと私の方をみている若い女性がいたが、私を芸能人の誰か(たとえば北大路欣也や中村吉右衛門)に間違えたわけではないとすれば、おそらく大教室での私の講義をとっている学生であろう。電車に乗っているときや、映画館や美術館にいったときなどに、たまにこういうことがある。どこで誰に見られているかわからないから、外ではちゃんとしていなければならない。
妻の実家には義姉夫婦も来ており、昼食をとって、一服してから、みんなで近くの神明社に初詣に行く。丘陵地帯を造成した土地だから起伏に富み、果樹園がそこかしこにあるので見晴らしも大変にいい。蒲田とは異次元の風景だ。
私が妻の実家を訪れるのは、最近では年に一度、お年賀のときだけである。義父は4年前に亡くなり、義母はひとり暮らしをしているが、義姉夫婦が中山に住んでいるので、義姉がときどき顔を出しているようである。私の妻も実家の庭の柿や蜜柑の収穫を手伝いに出かけている。私が義母と会うのは正月と、春秋の彼岸、義父の墓参りのときだけである。会ってもとくにおしゃべりをするわけでもなく、今日も義母は台所と居間を行ったり来たりで、いくらか落ち着いて話が出来たのは、夕方、われわれがおいとまをする前の30分くらいのものであった。いつものことである。いつものことがいつもどおりに展開することが、「お変わりない」ということで、それはたぶんよいことなのだろう。