9時、起床。生たらこ、ご飯、それと汁代わりの雑煮の朝食。快晴続きの正月三が日だったが、今日は雲りがち。正月休みの終わりを告げているようである。
昼過ぎ、川越から妹夫婦と次男が車に乗ってやってきた(愛犬のジョンも一緒)。いつもより一日遅い訪問である。1時間ほど遅れて長男も一之江から電車を乗り継いでやってきた。長男は就職3年目、次男は1年目で、2人ともしっかり働いているようで頼もしく、伯父さんとしても嬉しい。
食事が一段落したところで、書斎から小雀を連れてくる。小雀は人見知りをしない。人間一般を信頼しているのだ。親の育て方がいいからだろう。妹一家の手に乗ったり、肩に乗ったり、頭に乗ったりしている。
ジョンは玄関先に紐でつながれている。私が近づいても吠えたりはしない。紐を手にもってやると、外に出たい様子なので、散歩に連れていってやることにした。ところが、ジョンのやつ、いきなり走り出した。こっちはサンダル履きなので、あわてたが、一所懸命についていった。とても散歩というようなのんびりしたものではない。普段は家の中で飼われているそうで、全力で走ることに飢えているみたいだ。
ジョンの散歩を妹にバトンタッチして、駅の方へ本当の散歩に出る。工学院通り商店会はもう名前だけで、その4分の3は消滅してしまった。おまけに高層(20階)の校舎が建ったために強風の通り道になった。みんなこれには閉口していて、強風を避けて呑川沿いの道を歩く人が増えた。とくに雨の降る日の強風は悲惨で、とてもじゃないが傘を差しては歩けない。自転車に乗っていても突風にあおられて転倒しそうになるのだ。そのうち怪我人が出るだろう(すでにもう出ているのではないか)。「強風注意」の看板でも早急に立てるべきだ。いや、うっかり看板など立てると、風で飛んでかえって危険かもしれない。高層建築にまつわる日照権の問題はよく話題になるが、風害の問題はどうなっているのだろう。
この荒廃した通りにときおり猫の鳴き声がする。以前、まだいくつか店舗が残っていたときに、餌をもらっていた猫たちが、店舗がなくなっても、いまは工事現場となった同じ場所を離れずにいるのだ。もっと居心地のよい場所があるだろうに、寒風の中を哀れである。一昨日の夕方も小さな猫が道端でミャーミャー鳴いていたので、少し離れた場所にあるコンビニまで行って、ハムを買って来て与えてやると、無我夢中で食べていた。
街にはまだ正月気分がいくらかは残っている。有隣堂で佐藤正午『正午派』(新潮社)を購入し、「シャノアール」で読む。作家のデビュー25周年を記念して作られたムック本だ。単行本未収録の小説とエッセイ、それから映画化されずに終った(?)小説『Y』の映画脚本が収録されている。
深夜、雨になる。正月気分はこれで払拭された。明日からまた日常が始まる。