9時、起床。卵焼き、トースト、紅茶の朝食。締め切りの迫った書類の作成を途中までやって、昼前に家を出る。いまの時期、とにかくあれこれの締め切りが目白押しである。「目白押し」とは鳥のメジロが木に押し合うように止るところから来ている言葉だが、「雀押し」と言わなかったのはなぜだろう。われわれが街中で実際に目にするのは「雀押し」である。
3限の講義「ライフストーリーの社会学」の始まる前、教員ロビーでワイヤレスのピンマイクを借りる。受付の女性が「先生はいつもピンマイクを使われるから『ピンの大久保先生』と覚えておりますという。比較的最近入られた方で、いま、教員全員の名前を覚えるのに一所懸命なのだ。専任だけでも大久保姓の教員は3人いる。私が「ピンの大久保先生」ということは、他の方は「ハンドの大久保先生」(ハンドマイクのハンドである)あるいは「キリの大久保先生」(ピンからキリのキリである)ということになるのだろうか。
3限の講義を終えて、教員ロビーで、「ピンの大久保、マイクを返却します」と言うと、先ほどの女性がニッコリ笑われた。昼食をとりに「ごんべえ」に行くと、私の授業をとったことがあるという他論系の女子学生2名と相席になり、あれこれおしゃべりをする。そのとき私は釜揚げうどんを食べていたのだが、2人とも釜揚げうどんを知らなかった。メニューにあるのは知っていても、どんなものか知らないのだ。私が釜揚げうどんを食べるのを珍しいものを見るような目で見ているので、美味しいから次回は注文してみることを勧める。釜揚げうどんの普及は私のミッションの1つだと心得ている。
4限、5限は空き時間で、研究室で書類の作成の続き。それを仕上げてから授業の準備。ゼミ生たちのBBSへの書き込みに目を通す。Iさんが「どうして書き込みのときの私の名前はカタナカ表記になっているのでしょう」と書いていたが、これはコースナビのBBSへの書き込みのときはプロフィールにある「ニックネーム」(初期値は名前のカタカナ表記)が表示される設定になっているからで、「ニックネーム」は自由に変更することができる。漢字表記にしたければそのように設定すればよいし、「ハニーハニー」にしたければそのように設定すればよい。
6限・7限はゼミ。私の隣にはゼミ幹事のNさんが座ることが多いのだが、今日、彼女から「先生はどうして私を幹事に指名したのですか」と聞かれて驚いた。というのは、私は彼女が自分から「幹事をやります」と手をあげたものと思い込んでいたからだ。記憶とはこのように変容するものなのである。そのNさんに3月24日(科目登録ガイダンスを予定している)に新ゼミ生との顔合わせコンパをやろうと思うので、場所の手配を依頼したが、う~ん、やっぱりNさんが自分から手をあげて幹事を引き受けたのではなかったかなあ。
今日のゼミでは各自のゼミ論のテーマについていまの時点で考えていることを話してもらった。話したからと言って、今後、それに縛られるということはない。話す機会を設けることでゼミ論のテーマを考えるように促すのが目的である。考えておくようにといっても、あれこれ忙しい時期であるから、詰めて考えることはしないのが普通である。ゼミで話をしてもらうからといっておけば、考えざるをないのである。今日ひとわたり聞いた限りではありふれたテーマが多かった。もちろんありふれたテーマであってもかまわないのだが、ありふれたテーマがありふれた考察を経てありふれた結論に至るケースを多数見てきたので、その点は注意しておいた。第一に、君たち自身が面白いと思えるゼミ論を書くこと。そして、第二に、願わくば、それを読む私にとっても面白いものであらんことを。今日のゼミの終了時刻は9時45分だった。早くもなく、遅くもなく(もなく)。
11時半、帰宅。風呂を浴びてから、書類の手直し。明日は土曜日だが、書類の提出で大学に行かなくてはならない。