7時半、起床。
カレーパンと紅茶の朝食。トーストに冷たいカレーをのせる。
12時前に家を出て、大学へ。
昼食は蒲田駅の売店で購入した赤飯弁当。
1時からカリキュラム委員会。今日は1時間足らずで終わる。
会議室を出たところで、武田先生に声をかけられる。「確かめたいことがあります」とのこと。なんだろうと思ったら、中公新書の『ひとり旅の楽しみ』を知っていますかとのこと。もちろん知っている。著者は高坂知英、1976年の出版で、私は出てすぐに買って読んだ。大学4年のときだった。旅はひとり旅をもって最上のものとするという私の信念は、自分の経験とこの本をバックグラウンドとする。武田先生は11月23日の「フィールドノート」で、宙太さんとのんちゃんのタイ旅行のことを書きながら、「旅は一人旅に限りますよ」と私が述べたのには、高坂の本の影響があるのでないかと思われたのである。はい、ご明察です。ついでに武田先生は高坂の文章には加藤周一の文体の影響があると感じておられたようで、加藤の「夕陽妄語」の中に高坂のことが出てくるのを知ってやっぱりと思われたとのこと。そうです、加藤と高坂はたしか高校(一高)時代からの友人であったはずである。高坂の本が出てすぐに、加藤は新聞で高坂の本を好意的に評する文章を書いていて、私が高坂の本を買って読んだのは、たぶん加藤のその文章を読んだからだと思う。聞きそびれたが、武田先生も学生時代に『ひとり旅の楽しみ』を読んだのであろうか。
3時からNさんのゼミ論の個別指導。Nさんが持参したエクレアを食べながら、「自己価値感」について語り合った。
5時半に大学を出る。「SKIPA」に寄って行く。
のんちゃんは今日は早上がりで店には宙太さんと、先客が一人(近所に住む女子高生)。のんちゃんはタイ旅行の痛手からだいぶ立ち直ったそうである。先客の女子高生は来年、宙太さんと同じ日大の芸術学部に入ることが決まっていて、彫刻を専攻するとのこと。三人でしばらくおしゃべりをする。彼女が帰った後、宙太さんが日芸で演劇(照明)を専攻していたという話を聞いて、私の娘も演劇をやっていましてね、神楽坂の小劇場に娘の芝居を妻と見に来たときにちょっと時間があったので、どこかでお茶でも飲もうと、お隣の「トンボロ」に入ったのがここに来るようになったきっかけなんです、という話をする。
7時半、帰宅。風呂を浴びてから夕食。メインはサーモンのソテーだが、実は野菜中心。
食後の甘味は「梅花亭」で買ってきた椿餅。店の戸は開けたままなので、夕方から店の中は冷えるのだと店員の若い女性は言った。初めて彼女と言葉を交わしたときのことはよく覚えている。たぶん彼女も覚えているだろう。私が支払いを済ませて、店を出ようとしたときに、彼女が私に「あっ、チャックが開いています」と言ったのだ。私はあわててズボンの前を確認した。彼女は、ちょっと顔を赤らめて、「いえ、お財布のチャックです」と言った。私がおつりの小銭を財布の小銭入れの中に入れて、チャックを閉めずに上着の内ポケットに仕舞おうとしたのを注意しての一言だったのだ。
明日の句会のための作品(三句)をまだ用意していない。俳句の頭になるために、歳時記をパラパラとめくる。それで気づいたのだが、「美しい」とか「悲しい」という言葉を詩で使ってはいけない(そういう直接的な言葉を使うのは拙い)と私は思い込んでいたのだが、俳句では必ずしもそうではないようだ。
冬の日の三時になりぬ早や悲し 高浜虚子
夕方がいちばんきれい冬の空 上野章子
虚子の句はそれでも味わい深いが、上野の句は小学生が教室で作ったみたいじゃないか。でも、歳時記にのるくらいの作品だから、小学生の句とは何かが違うのだろう。う~ん、どこが違うのかわからない(笑)。
今回も食べ物の季語でいこうか。
別るるに東京駅のおでんかな 岬雪夫
牡蠣鍋の葱の切つ先そろひけり 水原秋桜子
鯛焼を徹頭徹尾食ひ尽くす 相生垣瓜人
根深汁一日寝込めば世に遠し 安住敦
すき焼きや浄瑠璃をみて泣いてきて 長谷川櫂
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 久保田万太郎
いや、前回とは趣向を変えていこうか。悩むところだ。
昼間から楽しみにしていたが、そうだった、今週は『リーガルハイ』はお休みなのだった。