フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

8月10日(日) 雨降ったり止んだり

2014-08-11 03:41:10 | Weblog

10時、起床。寝坊した。寝たのが明け方の4時だったからしかたがないが、家を出るまでに1時間しかない。

11時に家を出る。そのときは雨がそれほどではなかったが、神楽坂の駅を出ると、雨脚がかなり強くなっていた。

「SKIPA」に着くと、宙太さんが店の前の道に出ていた。ほんの少し前まで土砂降りだったらしい。

今日の句会の参加者は7名。ほどなくして全員が集合。とりあえず冷たい飲み物で喉を潤す。

さて、句会の始まり。7名×3句で21作品が目の前に並んだ(兼題は「風」で、3句中一句は「風」の字を詠みこむ約束)。各自がベスト3(天・地・人)と思うものを選ぶ(ただし自分の作品は除く)。「天」は5点、「地」は3点、「人」は1点として、全体を集計する。

今回は得点が全体にばらけた。5点以上を獲得した句を紹介する。

11点  待ち合わせ場所に漂う海月かな  直美

今回の特選は主宰の紀本さんの作品。私はこれに「天」を付けた。「クラゲ」でも「水母」でもなく「海月」と表記したのが効果的。日の暮れたあとの海岸。月明かりに照らされて、海月が青白く光っている。人目を忍ぶ恋であろう。

9点  まくわうりだれかとぬるいみずのなか  直美

これも紀本さんの作品。今回は本気を出されたような気がする。得点では2位だが、選んだ人(4人)が一番多かったのがこの句である。私も「地」を付けた。水に浸かっているのが胡瓜や西瓜ではなくーそれでは凡庸―まくわうり(真桑瓜)であるところがポイントだろう。「まぐわう」と音が似ている。「まぐわう」という古語には、「めくばせをする」(=目と目を見合わせて愛情を通わせる)というソフトな意味と、「性交をする」というハードな意味があるが、どちらの意味にとるにしろ、「だれかとぬるいみずのなか」という気だるいような親密感とマッチしている。

6点  妊(みもご)りて母持つ日傘に甘えたり  あゆみ

今回が初参加のあゆみさん(恵美子さんの友人)の作品。お見事です。作意は娘が妊娠をして、自分が母になることの不安から、母親に甘えるということであるが、母親が妊娠をして(自分にきょうだいができることがわかって)、母親の気持ちを自分に向けさせようとして甘える小さな子どもの姿を詠んだものとも読める。

6点  人魚姫の夢をみているソーダ水  あきこ

最近、私はカフェで「梅ソーダ」をよく飲むが、ソーダ水は夏の飲み物の代表である(少なくともビールを飲まない者にとっては)。「ソーダ水」を詠んだ句といえば、富安風生の「一生の楽しきころのソーダ水」にとどめをさすが、この「人魚姫・・・」の句もファンタジックで素敵である。童話的で、絵画的、つまりはシャガール的な句である。作風からたぶんあきこさんの句であろうと思ったが、はたしてその通りであった。私はこれに「人」を付けた。

6点  帰省して将来の夢風来坊  恵美子

兼題である「風」を詠みこんだ句。帰省して、親族から「これからどうしていくつもりなのか」と人生設計について聞かれたときに、「風来坊になるつもりだ」と開き直って答えられたらどんなにいいだろうという意味だろうか。テレビ局で働く京さんや保育士のあゆみさんが共感して「地」を付けた。

5点  風花は離婚届けの出しどころ  蚕豆

離婚しようかどうしようかと迷っていた人(女性だろう)が、年末、雪のちらつく頃に、その決断をするというというのは、TVドラマの一場面のようである。女優は尾野真知子がいい。蚕豆さんらしい作り込んだ句である。

5点  氷鳴る飲めとカルピス水混じり  あゆみ

初参加のあゆみさんはこの作品も入選した。溶けた氷でカルピスが薄まると美味しくなくなる。だから早く飲めよと氷の音が知らせているわけだが、カルピスはまさか原液で飲んでいるわけではないだろうから、当初から水は混じっているわけで、「水混じり」という表現はいかがなものかという評もあった。

5点  父に似た大きな頭夏帽子  たかじ

私の句。今回は平明さの他に、もう1つ、自分以外の視点で詠むということを自分に課した。先日、娘と帽子屋でハンチング帽を買ったときのことを、娘の視点で詠んだ句である。紀本さんが「天」を付けてくださった。ちなみに、私の他の二句は、「夏便り双子の母となりました」(2点)と「切なさも風に吹かれて夏の旅」(選外)である。

前回、初参加で上位入選をした京さんは、今回は三句とも選外で、反省しぼやくことしきりだった。そういうものです。あれこれ考えすぎるといい結果は出ないようである。

選評が終わったところで食事に移る。定食を注文した人が4名(私もその一人)、チキンカレーを注文した人が3名であった。デザートにスカイのサービスがあった。

 本日参加の7名。左から、あきこさん、私(たかじ)、恵美子さん、あゆみさん、蚕豆さん、紀本直美さん、京さん。(各人の俳号)

次回、10月の句会は、いろは句会の一周年を記念して、新宿御苑で初の吟行を行うことに決まった。

雨も止んだので、恵美子さん、あゆみさん、あきこさん、私の4人は飯田橋まで歩いて、「紀の善」で二次会。

 

 

みんなと別れた後、東京ステーションギャラリーで開催中の「泥象 鈴木治の世界」を見物する。(もう寝ないといけないので、感想はまた後日)

蒲田には6時に到着。雨脚が再び強くなってきた。

「PHONO KAFE」に寄って、ごぼうのフリットとハニーブッシュで一服。 

6時半、帰宅。夕食のメインは青椒肉絲。

明日から信州小旅行。台風との遭遇は避けられそうである。

ブログの更新は二、三日ありません(たぶん)。

切なさも風に吹かれて夏の旅  たかじ