フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

8月24日(日) 曇り

2014-08-25 14:39:32 | Weblog

7時半、起床。

昨日、食べ過ぎたので(「永楽」の炒飯)、今日の朝食は抜く。

昼食はソーメンをリクエストしたら、「できたわよ~!」と呼ばれて行ったら、蕎麦だった。「あの~、ソーメンをリクエストしたのですが・・・」と私がやんわりと(作っていただいている立場なので)異議申し立てをすると、「同じようなものでしょ」と妻。いや、いや、いや、いや・・・・ソーメンと蕎麦は違うでしょ。似て非なるものでしょ。こちらはすっかりソーメンの気分で、♪ソーメン、ソーメンとソーメン節を口ずさみながら、書斎からリビングダイニングルームへとやってきたわけですよ。ひんやり、さっぱりのあのソーメンをこれから食べるのだと。ところがテーブルの上にはソーメンではなく蕎麦が置かれていたと。いや、蕎麦は嫌いではありませんよ。むしろ好きですよ。でも、そういう問題ではないんです。いったんソーメンに向いていたこの心と体を、急ブレーキをかけて、ハンドルを切って、蕎麦方向に向けないとならないわけですよ。それを強いられるわけですよ。これ、けっこうなストレスです。「はい、はい、わかりました」と妻、「早く食べないと、蕎麦、のびるわよ」。「はい、いただきます」と私。

夕方、散歩に出る。

「テラスドルチェ」でコーヒーを飲みながら読書。

ふと、財布を忘れたのではないか、鞄の中をみてみたところ、やっぱり忘れていた。

家に電話して妻に出てきてもらう。

出てきてもらったついでに、少し時間は早いが(まだ5時半)、「Zoot」で夕食を食べて帰ることにした。妻はここのつけ麺がお気に入りなのである。

私は魚介系のスープはそれほど好きではないので、鶏ガラスープの塩ラーメン(味玉付)を注文。

帰りにくまざわ書店に寄って(妻も)、本を3冊購入。

大内裕和、武信三恵子『「全身〇活」時代 就活・婚活・保活からみる社会論』(青土社)

南田勝也『オルタナティブロックの社会学』(花伝社)

ジェーン・スー『貴様はいつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)

早めに夕食を食べると、夜の時間がたっぷりとある。

『おやじの背中』第7話「よろしくな、親父」(山田太一脚本)を観る。おなじみの(ただし後述の一点を除いて)山田太一ワールドである。都市で暮らす人びとが「変わった大人の男」の唐突な行動によって深く結びついていくというストーリーは山田作品にはしばしば登場する。たとえば『早春スケッチブック』(1983年)で山崎努が演じた沢田竜彦などは「変わった大人の男」の代表だろう。彼の言動によって望月家の人々の平穏だった日常は徹底的に攪乱される。しかし、攪乱されながらも、破滅に至ることはなく、望月家の人々は自分の人生や自分の家族と正面から向き合って、再生を図っていくのである。「変わった大人の男」はありきたりの日常、諦めてしまったような日常、自分を無理矢理納得させてしまっているような日常が再生するためのカンフル剤として機能する。「大人の男と若者との間の心の交流」というテーマも山田太一の作品にはしばしばみられる。今回と同じ渡辺謙が主演した(共演は玉木宏)『星ひとつの夜』(2007年)もそうであった。1人の人間として他者の生き方に関心をもつということ、そういう関心があるということを相手に言葉で伝えるといこと、当初、相手は気持ち悪がるが、それが他意のない相手の本当の気持ちなのだ理解することで、そんなふうに他者と出会えたことを一種の奇跡のようなものとして受けとめられるようになる。今回のドラマでは「大人の男と若者」が最初に出合ったのは若者が働くコンビニであったが、山田は『深夜にようこそ』(1986年)でコンビニを都市に住む孤独な人々が集うオアシスのようなものとして描いたことがある。今回のドラマで、新味だったのは、渡辺謙と余喜美子が演じる中年の男女の間での性愛の描写である。いったん断った見合い相手である男から「あなたを諦められない」と言い寄られて、女の気持ちが大きく傾くシーンで、女はたんに男の一途な思い、誠実な人柄にだけ惹かれたわけではなくて、その男の身体に強く惹かれるのである。自分にとって最後の恋愛のチャンスのみならず、同時に性愛の最後のチャンスであることを、女は自分でも驚くほどの正直さで男に対して言葉にするのである。おそらく、「大人の男と若者の間の心の交流」を描くときに、若者が男であるという設定に山田がこだわるのは、若者を女に設定してしまうと、性愛の存在を排除することができなくなり、年齢差のある恋愛ドラマになってしまうからであろう(もちろん大人の男と若い男という設定でも性愛の存在の可能性はあるわけだが、TVドラマではそれが主題になることはあまりないし、今回のドラマでも、男は若者の母親に性愛を感じているという設定になっている)。

ああ、もう一つ新味な点があった。若者を演じる東出昌大が渡辺謙よりも長身で、渡辺謙の背の高さが目立たなかったことである。