8時、起床。
トースト、サラダ(トマトとレタス)、牛乳の朝食。
11時半に蒲田駅でMさん(論系ゼミ2期生)と待ち合わせ、「まやんち」へ行く。
Mさんはこの10月に結婚式を挙げる(入籍はすでに今年の3月に済ませている)。私は披露宴でスピーチを頼まれているので、取材を兼ねて今日会うことになったのである。。一昨日、神楽坂の「トンボロ」で会ったSさん(論系ゼミ1期生)も一年前の9月に結婚式を挙げたのだが、そのときも「まやんち」で会って結婚までの経緯などを聴いてスピーチの準備をした。「まやんち」はそういうおめでたい面談の場所なのである。
Sさんのときも今回もちょうどピーチメルバの季節だったので、「まやんち」で会うことにしたという事情もある。店に入ると、店主のますみさんが、「先日は申し訳ありませんでした」と言った。昨日のことを言っているのだとすぐにわかったが、昨日を先日というところに、この数日の忙しさがうかがえる。実際、われわれは開店10分後に着いたのだが、すでに店内はほとんど満席状態であった。
野菜サンド(Mさんは玉ねぎ抜き)、紅茶(私は東方美人、Mさんは春摘みのダージリン)、そしてピーチメルバを注文する。
この細切りの人参が美味しいとMさん。そうでしょう、そうでしょう。スライスしたアボカドとの相性がよくて、ふんわりとした食感。
さて、ピーチメルバである。私は今期5食目、Mさんは初めてである。
初めて「まやんち」のピーチメルバを食べる人がどういう反応をするか、Mさんはその典型例である。
まず、見た目の美しさにうっとりする。ピーチメルバを一切れ口に運ぶ。コンポートした桃の甘さとラズベリーソースの甘酸っぱさにうっとりし、それが続いて口に運ぶアイスクリームと渾然一体になって、至福の瞬間が訪れる。「こ、これは!お、美味しい!」と思わず口に出てしまう。そして自ずと笑みがこぼれるのである。
かくしてMさんはピーチメルバを食べる前とは別の人間になり、ポスト・ピーチメルバ的人生を生きることになったのである。
Mさん、いつまでもお幸せに。
写真を撮っていて気付いたのだが、Mさんは首を左にかしげる癖がある。それはチャーミングな仕草ではあるのだが、結婚式のとき、とくに結婚の誓いを述べる場面では出さないように気を付けよう。
神父「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
Mさん(首を左にかしげる)
神父(えっ?迷っているの?!)
Mさん「はい、誓います」
神父(ハラハラさせないで)
・・・となるといけないから。もし、結婚式のときにこの癖が出てしまった場合は、誤解を解くために、私がスピーチの中で「あれはMさんの癖なのです」と説明させてもらいます。というわけで、スピーチの材料を一ついただきました。
ところで、私とMさんが話をしているときに、私の背後から「お話し中、失礼いたします」と話しかけてきた女性がいた。お店のスタッフの方かと思って振り返ると、見覚えのある顔である。去年の秋、私の演習を履修していた学生である。「先生のブログを読んで、今日、まやんちさんへ初めて来てみました。本当はこの後、phono kafeさんも梯子したかったのですが、ちょうど夏休みなのですね」という。私のブログに登場するカフェや食堂に行ってみましたという話はたまに学生から聞くが、実際に現場で話しかけられたのは初めてである。もしかしたら、これまで話しかけられないだけで、馴染みの店に行ったときにブログの読者(学生とは限るまい)と遭遇していたことは一度や二度でなかったのかもしれない・・・。いつどこで誰に見られているかわからないから、ちゃんとしていなくちゃな、と思った。私と学生とのやりとりを聴いていた隣のテーブルの客が笑っていた。
「まやんち」を1時過ぎに出て、これから横浜に行くMさんとは蒲田駅で別れた。
私は恵比寿の東京都写真美術館へ。9月24日から2年間の大規模改修工事に入ることになっている。休館まであと1か月だ。
今日は2つの展示会を観た。報道写真家・岡田義彦の回顧展「岡田明彦の写真 生きること死ぬことのすべて」と、清里フォトミュージアムの開館20周年を記念した展示会「原点を、永遠に。」。
ちょうど2階のラウンジで「原点を、永遠に。」関連のトークイベントが行われていた。
休館までにもう一度か二度は訪れると思うので(友の会の観覧ポイントも未消化のまま溜まっていることでもあるし)、展示会の感想はいずれそのときにでも。
ミュジアムショップで本を購入。
シャーロット・コットン『現代写真論 コンテンポラリーアートとしての写真のゆくえ』(晶文社)
ロズウェル・アンジェ『まなざしのエクササイズ ポートレイト写真を撮るための批評と実践』(フィルムアート社)
ショプの奥にある喫茶コーナーで一服。
美術館を出たのは4時頃。
小腹が空いたので、大井町で途中下車。
禁断のゾーンへ足を踏み入れる。
「永楽」に吸い込まれるように入ってしまう。
「永楽」を訪れるのは二度目。最初のときは評判のラーメンを注文した。そのとき、そばにいた客が注文していた炒飯が気になっていた。
これがその炒飯である。基本が大盛りである。型にギュッとに押し込んでも入りきらなかった炒飯が皿にあふれている。ちょうど、居酒屋で升酒を注文したときに、升から溢れた酒を皿で受けとめて、一緒に客に出すあの感じに似ている。まず、あふれた分を食べ、次に本体に取りかかる。ギュッと固まっているので、ほぐして食べることになるのだが、ほぐすと量が増えてそのボリュームに圧倒される。メニューに半炒飯というのはないが、小腹を満たすには半炒飯で十分である。フードファイターになった気分で完食。しかし、この時間に食べてしまって、夕食が入るだろうか心配になる。
ご馳走様でしたと店を出て、店の外観を写真に撮ろうとしていたら、店員さんが出てきて、私に何か言う。忘れ物でもしたのだろうかと思ったら、「お代がまだです」とのこと。完食したことに満足して、支払いを済ませた気になっていのだった。ごめん、ごめん。所作がのんびりしていたからよかったものの、これが店を出て足早に立ち去ろうとしていたら、間違いなく食い逃げと思われたであろう。
夕飯は8時。今日はオムレツ。
あの炒飯を食べてから3時間半後であるが、完食する。でも、デザートはパス。