(承前)
私にとっては連日の「chiiann」である。明日も来るので(明日は一人だ)三日連日となる。私は気に入った場所、気に入った店には何度も行く。気に入る、好きになるというのは、そういうことではないだろうか。もちろん初めての場所、初めての店にいくこともある。10回のうち1.2回はそういうこともする。でも、基本はリピーターである。開拓者ではない。開拓はリピーターになるために、なじみの場所を拡大するために、するのである。
学者というのは議論が好きである。私と坂井先生はカフェではたいてい議論をしている。とはいっても、政治とか経済の話をするわけではない(坂井先生は経済学者だから多少経済学的な用語を使われるが、経済問題を論じるわけではない)。主たるテーマは「社交」であったり「椅子」であったり、つまり、いま自分が関心のあること、いま相手が関心のあることである。だからわれわれは聞き手と話し手の役割を頻繁に変えながら議論をする。議論ではなく「おしゃべり」という言葉を使ってもいいのだが、「おしゃべり」よりももう少し意識的というか、ゲームを楽しむというか、つまりは一緒に「おしゃべり」を作っているという感覚があるのである。
私はアイスティー、坂井先生はコーヒー(浅煎りであったか、深煎りであったかは覚えていない)を注文。
スイーツはバナナケーキ(レアチーズのせ)。先日、アリさんがここでこれを食べて、「とても美味しかったですが、ほとんどミリ(娘さん)に食べられてしまいました」とぼやいていたやつである。確かに美味しい。レアチーズとの組み合わせがいい。私は、一人で全部食べました。お代わりしようかと思ったくらいです(笑)。
われわれが店を出るとき、奥様がお見送り下さった。奥様は顔出しNGなので、白いお面をかぶっていただく。 昔、藤村志保という映画女優がいたが、その人に似ていらっしゃる。
さようなら。私はまた明日参ります。
再び川向うへ。
坂井先生が「シェ・モモ」でコンフィチュールを何か買って帰りたいというのでお供する。もともとこのお店の存在を私に教えてくれたのは坂井先生なのだ。
棚の商品は昨日よりも減っている。日曜日は客が多いのだろう。コンフィチュールはすべてこの店の自家製なので、季節によって、曜日によって、さらには一日の中での時間帯によって、棚に並ぶ便商品の種類や数が変動する。
私が昨日来たときは、全部の商品(7種類くらいあった)を試食してその中から3種類を購入したが、坂井先生は2種類試食してその1つの購入した。
買い物を終えて、「栞日」を目指して街を歩く。古書店の店先で坂井先生が写真を撮っている。
なんだろうと思ったら、一昨日と昨日、朗読と音楽「串田孫一 音楽の絵本 山のパンセ」という催しのポスターだった。 「串田孫一」と聞いてもいまの若い人は知らないであろうが、哲学者にして詩人、そして登山家だった人である。随筆集『山のパンセ』は広く読まれた。
別の店舗の店先にも来月に市民芸術館で行われるストゥラビンスキーの『兵士の物語』の公演ポスターが張られていた。演出を手掛ける串田和美(かずよし)は孫一の息子である。松本の街歩きをしていて感じるのは、街の文化的水準を上げることに市民が熱心だということである。
「栞日」が見えてきた。
今日は月曜日だが、日曜日のように客が多かった。二階のテーブルは全部埋まっていたので(こんなのは初めてだ)、われわれは一回のテーブルに腰を下ろした。
注文した飲み物がやってくる前に坂井先生の時間がなくなり(大町行きのバスの発車時刻が近づいてきた)、彼は私に自分が注文したコーヒーも飲んでくださいといったが、テイクアウトもできますとお店の人に言われて、そうすることにした。では、さようなら。秋カフェは久しぶりに「パン日和あをや」でしましょうか。
坂井先生が帰った後、私はシナモンドーナツとアイスジンジャーで1時間ほど過ごした。
そのとき読んだ(購入もした)雑誌がこちら。『たたみかた』2号(特集「男らしさ女らしさ」)』(アタシ社)、「30代のための新しい社会文芸誌」と銘打たれている。なんだか大杉栄みたいじゃありませんか。
「栞日」を出たのは4時を回ったころ。不穏な雲が空を多い始めていた。急いで宿に帰った方がよさそうだ。
あがたの森通りの「三洋堂書店」。店先の雑誌にビニールシートで被う準備をした方がいいですね。
下校する地元の高校生たち。
「高見書店」をちょっと覗いていく(急ぐんじゃないのか)。
コンビニでスイーツを買っていく。
ホテルの部屋の窓から見た西の空はなかなかドラマチックだった。
雲間から差す光は「天使の階段」と呼ばれている。
スマホが鳴った。これから「強い雨」が降るようだ。
すぐに予報通りになった。山の姿は見えなくなった。
雨は1時間半ほど降り続けて、止んだ。
昨日の分のブログ(後半)を書いてアップしてから1階の「ガスト」に夕食を取りに行く。未使用の朝食券(1200円相当)を使って夕食をとろうというわけだ。
鶏肉の龍田揚げ定食にサバの味噌煮をオプションに付けた。
部屋に戻り、風呂を浴びてから、コンビニで購入したあんみつを食べ、
『高見書店』で購入した渡辺眸『フォトドキュメント東大全共闘1968-1969』に目を通す。元東大全共闘代表、山本義隆が「闘争を記憶して記録するということ」という文章を本書のために寄せている(これを読みたくて本書を購入したのである)。
今日は普段通り1時半ごろ、就寝。