さて、車両の受け取りも無事にすませて、いよいよ911との初ドライブです。折悪しく、雨がポツリポツリと降り出したのですが、これ僥倖というものです。
シャーシ全体が濡れるくらいの降雨がある場合にはクルマ全体が落ち着いて、本来の姿を感じることができます。
大分からトクイチオートのある岐阜県各務原まではざっと650km。1日でも十分にやっつけられる距離ですけど、大分は夕方発にならざるを得ないので、ここはヨロコビに浸りつつフェリーに乗っけて四国に上陸しておいて、松山どまり。2日目に入庫させる手筈です。
じつは、大分からですと関門海峡経由のいわゆる北回りでも四国経由の南回りでも所要時間がほぼ同じなのです。フェリーを使ってこれなので、距離的には南回りの方が近いわけですね。
モノ好きな私のことですから、バリエーションをとってフェリー航送プラス四国のまばらなハイウェイを選択します。
1時間ちょいの船旅ですが、気分が変わって最高。グランドツーリングめいてきますw。
このフェリーはシンプルでして、予約なしで乗り場に辿り着いても駐車場に着いた順番に並んで、船倉に乗れれば各定時発の四国行きに乗れるし、満員となったら次の定時発に乗ってね、というゆるーい船便、というか渡し船です。
ネット予約ももちろん可能なんですけど、クルマ移動、それも911でのときに時間にしばられてあわてたりするのがイヤなので、ブラブラしながら向かいますw。
画像では私の後ろに2台乗ってそれで満車。あとは1時間待ちです。予約なしでたどり着いてこれ。どうです?もってるでしょうw私?
いつも思うんですけど、関門海峡経由の山陽新幹線に沿った山陽、名神、東名高速道路つまり北回りって、走りにくくてよい思い出がないです。85kmhのトラを86kmhのトラが2kmくらいかけて追い越す、ってのを全線で延々やってるので慢性低速道路なうえにそもそもの交通量が半端ない。
後続のドライバーもさまざまにイライラが募ってるので、イヤーな空気に支配されることが多い印象。車間距離とって気持ちよく走ってると頻繁にジャマが入るのも特徴か。
できれば高額な高速代金払ってまで走りたくないルートです。そこいくと四国ルートは気楽っす。交通量がまばらなのが効いてます。他車がいないところでしたら、アクセルも床...(以下自粛)。
パノラミックな橋や海峡の眺めなんかも抜群。今日は秋雨前線全開ですからクルマの様子見には絶好と申せましょう。
ところで911ですが、乗ると車内はとても静かです。それなりの音と振動はもちろんやってきますけど、拍子抜けするほど静か。ですが、クルマを降りるとかなりな音量でエンジン音が聞こえてきます。
排気音ではなく、エンジン音がやたらとデカい。耳につく。あと、その音がどことなくバサついていてうるさい。耳障りとまでは申しませんが、澄んでいないといえば近いか。
このエンジン音のボリュームと音質については、かなり入念なチューニングがされていると見ました。と同時に、幌の出来ぐあいのすごさも実感できます。これについては別記事で語るといたしましょうw。
始動時に2000rpmくらいまでドシャーンと吹け上がるのが911の伝統で、そこは素直にうれしいのですが、その老け上がり 吹け上がりの音も驚くほど大きいのです。
こりゃアレだな、シリンダー内で燃え切っていないときの燃焼音だな、というのが長年のトクイチオート仕込みのおかげで理解できます。
さて、ここはひとつフェリーの甲板に出て、ようやく手に入れた911の記録簿を眺めてみます。ううむ、至福のひとときですw。できればシャンパン開けたいところですねw。
記録簿には、ここまでの履歴が「すべて」記載されていて秀逸。
新車時から同じポルシェセンターだけに入庫しており、最後の行には認定中古車整備という記載まであります。走行距離21000km弱。おそらく実走行だとのこと(祝)。
12年で21000km...へえ〜、と思いはするのですが、マイスターによれば整備ごとのインターバルはともかく、その間の走行距離がそれぞれ非常に少ないために、使われていないクルマとしてみなされている印象である由。つまりなんにもしてない。
走ってなかったら整備なんかいりませんよね、そりゃ。という経緯で本格的な手入れは行われずに12年経過してしまった、というわけです。距離いってない中古車あるあるですね。
一連の⭕️ェラーリなどはモロにこのケースで、年を追うに従ってオブジェと化してゆくのです。わかりやすいですね。気の毒ですが(他人事)。
ブレーキングのたびに想定ラインを1mは超えてしまうくらいに効きが悪いのもおそらくそのせいです。初期タッチが悪く、うわっ、このブレーキ(思ったほど)効かねえっ!となってさらに踏むと、あるところからペダルが押し返される印象なので、フィール最悪。
ペダルの踏力に応じた減速Gが得られない違和感のあるブレーキです。中速コーナーが連続するようなワインディングなどでスムーズなブレーキングができずにリズムに乗れず、気持ちよさ半減なのが目にみえております。
こんなのを宇宙一のブレーキだ、といって喜んでるんですよw。
さて、650kmもあれば、それなりに対話もできるってもんです。さまざまに走らせてみましたけれど、ボクスターとは違う世界観でもってぐいぐい押してきます。各部分のマージンの大きさも感じられます。
画像の5連メーターはもちろん3連から上がってきたw私にはうれしいけど、本当は、中心のタコメーターしか眺めておりません(爆)。
シート背後のスペースもじつは居住性に効いているのが実感されます。
ボクスターではドライバーの背中がエンジンスペースなので空間は20cmあるかどうか程度ですが、911ではリアシートという名前の広大なラゲッジスペースになっており、これが効くのです。ひんぱんに振り返るわけでもないのですが、意識の上でこの空間があるだけでルーミーな印象。
音もじつは車内で響きやすいのではないでしょうか?
991からはこれ、吸気音だという解説ですが、エンハンサーを駆使して増幅した吸気音を車内に導いてドライバーを鼓舞する、という解説があるんですが、これがまたうるさいときている(爆)。
スポーツモードの時だけか、と思いきやノーマルモードでも、たとえば画像の6速95kmhからアクセルを開けますと「ほわわ〜ん、ぐぎゃーん、フォロロロ〜ん」といって吠えてくださいます。
まったく苦笑ものですw。キブン上がるけどね(ぢゃいいぢゃん)。
入庫したら、元うちの僕さまとご対面してしまいましたw。新オーナーさんに向けたセッティング中だそうですw。いろいろと思い出しましたけれど、そういえば僕さまの方が911よりも格段に静かだったよな、と。
ドライバーのすぐ背後にエンジンがいるボクスターのほうが、リアエンドつまり3倍以上の距離にエンジンのある911よりも静かだってのはどう考えてもおかしい。
そう、この911、ちゃんと燃えていないのです。詳細次号