King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

『ミレニアム2』読了

2010年05月07日 09時21分16秒 | 読書
『ミレニアム2』
炎と戯れる女


ゴールデンウィーク中はこの本で楽しく過ごしました。

前巻の解説で、この作者がすでに亡くなっている事を知り
残念に思いました。

そして、前巻のお話で唯一気になった物語が法律上クリアに
なっていないことやミカエルがジャーナリストの本分を曲げ
てしまったことが非常に気に入りませんでした。

全てをクリアにしてこそ物語の完全体があり、読者に深い
感動を与えられると思います。

それをやらずに作者や世の中的風潮に流れてしまうのが残念
です。

それでも物語的にも面白く、主人公も魅力的であり謎が謎を
呼び意外な結末と物語に引き込まれる要素を持っているの
で、それなりに楽しめます。

その続きであるこの作品で、法的なクリアな面がまた気に
なる展開でずっと読者はやきもきされるのですが、ラストに
かけてそれはないよなあという気も強くします。

次の作品もあるので、こんな話ではないはずというのは
するものの、物語を見直すと身も蓋もない物語なので
なんじゃという感じもするのです。

前半の長いサランデルのセンチメンタルジャーニーのような
物は必要なのか。この様に必要なのかという物語の書き込み
過ぎのところはサービスなのか国民性なのか律儀な日本の小説
を彷彿とさせますが、まあそれが楽しいといえば楽しいし、
邪魔といえば邪魔の様でもあります。

スウェーデンてユーロじゃないんだとか意外とナチに関係する
ものをひきづっていたり、発見もあります。

いつも居間でテレビをつけている部屋で、深夜テレビを消して
読むことが多かったのですが、気にならなかった色々な音が
するのでびっくりしました。

それは話し声だったり、不気味な声だったり色々な音が深夜
でも、いや深夜だから通って聞こえるのでしょう。本もさる
事ながらそんな音につい耳を澄ませる事も多々ありました。

物語の終わり方は、さらに法律的にはクリアに出来にくい
難しい終わり方をしましたが、次作では読者の予想をまったく
裏切り司法の手にまったく関わることなくリスベットは
しっかり復活なんて事になっている感じがうすうすします。

それは、本の巻末の解説のつまらない内容で前回は作者の
死亡と遺作が実はパソコンに書きかけられていたという
驚きの事実などの情報がもたらされたのに次作に誘う目ぼしい
情報がもたらされないことから逆に次の作はサプライズが
一杯なのではと思ってしまいます。

題名のミレニアムはミカエルが勤める雑誌社の出している
雑誌名なのですが、当然新世紀の時期にこの物語も書かれた
ことを思うと内容的に陳腐化したものも持っています。
世界的に禁煙に流れているのに主人公や登場人物はやたらと
タバコを吸います。

携帯電話やネットの使われ方もなんか少し古い感じです。

海外送金や無記名債権なども個人情報が余りに簡単に扱われ
ているのも今風ではありません。まあそんな細かい不満も
あるもののそれでも一気に読ませる力を持っています。
コメント
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