金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

240:岡本敏子×よしもとばなな 『恋愛について、話しました。』

2006-11-01 12:15:11 | 06 本の感想
岡本敏子×よしもとばなな『恋愛について、話しました。』(イースト・プレス)
★★★☆☆

ちょっと動揺して、逃避のために
夜中に4冊も読んでしまった……

岡本太郎の養女でありパートナーであった岡本敏子と
よしもとばななの対談集。
岡本太郎関係の本をさがしていたのだけど、近所の図書館には
ほとんどないのよね。

教育のせいで今の若い人たちには打ち込める「好きなこと」がなく、
恋愛至上主義になってしまっている、
そのために雑誌の「モテる方法」に踊らされ、
女の子たちは同じような格好をして「商品」になっている……
という話があったのだけれど、ごもっともです。
昨年、名古屋駅を歩いていたら、黒のベロアジャケットに
フレアスカートというまったく同じ格好をした女の子を立て続けに
4人目撃して、ぞっとしたのを思い出した。
しかし、それも横並び社会であることの反映だろうけれど、
そうして流行の服を着て、恋愛しなきゃ結婚しなきゃという
強迫観念みたいなのは社会全体に強固にあって、
そこからはずれると本当に生きにくいのだと思う。
著者のふたりのように何ごとか自分の道を見つけ、
しかも職業として社会的に認められていないと、
そういう存在は許容されないのだ。

「恋愛に勇気が湧いてくる対話」と帯にはあるのだけど、むしろ
「恋愛とか結婚しなくても責められないためにはどうしたらいいか」を
考えてしまった(ネガティブ!)。
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239:清水佳子 『イギリス生活花日記』

2006-11-01 11:50:06 | 06 本の感想
清水佳子『イギリス生活花日記―清水佳子のガーデニング12カ月』(婦人生活社)
★★★★☆

「とにかく写真がすてき!」に尽きる一冊。
夫の海外転勤でイギリスに移り住むことになった著者が
ガーデニングに興味を持ち、庭に花を植え始める。
6月から始まる1年間の花々とガーデニングの流れを
あざやかな写真と文章で紹介。

わたしは特に淡い色の八重咲きの薔薇が大好きなのだけれど、
好みの色と形の薔薇が多くてうっとり。
フラワーアレンジメントの色合いの美しさ、
花やベリーを使った料理の写真にもめろめろ。
こういう世界と無縁な生活を送っているだけに憧れが募る。

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238:筒井康隆 『家族八景』

2006-11-01 11:36:10 | 06 本の感想
筒井康隆『家族八景』(新潮文庫)
★★★★☆

3部作の第1作。
テレパスである火村七瀬がお手伝いさんとして転々と移り住み、
のぞき込んだ、八軒の家族の心理とその顛末。

第2部の『七瀬ふたたび』を先に読んでしまったせいもあって、
地味に感じられる。
美少女の七瀬に超能力者たち、敵の組織との戦い……と
第2部のほうがどうしても絵的に派手になるので。
後半から第2部に向けての伏線のように、
七瀬が人目をひく美貌をそなえはじめたり、
超能力者であることへの苦悩が色濃くなったりしているのは興味深い。

憎みあっている家族の情景だけが取り上げられていて、
七瀬が「自分は結婚をしないのではないか」と思うのも
仕方ないよなあ……という気分になる。
特に父親が、どこの家でもろくでもない男として描かれてるし。

「18歳だしまだ(性的なことを)何もわかっていない」
という感覚に時代背景を感じる。
「澱の呪縛」には生理的嫌悪感でぞーっとした。

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237:穂村弘 『世界音痴』

2006-11-01 11:13:12 | 06 本の感想
穂村弘 『世界音痴』(小学館)
★★★★★

『だらしな日記』で紹介されていたエッセイ集。
この本を読むまで名前も知らなかったのだけど、著者は歌人。
「39歳、独身、総務課長代理」だそうですよ(当時)。

し、しびれた~!!

電車の中で読んでいて、笑いをこらえるのにひと苦労。
というか、何度も吹き出して、すでにあぶない人だったワタシ。
3部に分かれているのだけど、最初のⅠ部がおかしい。
「菓子パン地獄」がいちばんのツボだった。
そして、おかしいだけじゃなく、なんだか泣けてくる。
読み終わったときに、なんだか叫び出したいような気分になる。
そして、文章が詩だなあと思った。
特にⅠ部の言葉のリズムが。

前半で「結婚できない」とさかんに言っていた著者、
途中で結婚したみたいですね。
「ええ~っ結婚しないでよ!!」
と無茶なことを思ったくらい、一冊でノックアウトされました。

ネットで昔の恋人の名前を検索した、という話が出てくるのだけど、
わたしはやろうと思ったこともないし、ブログも見ないなあ。
見られてるのはわかるけど。
「その後」にまったくといっていいほど興味を持てない。
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