金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

253:北村薫 『ニッポン硬貨の謎』

2006-11-20 17:35:54 | 06 本の感想
北村薫『ニッポン硬貨の謎』(東京創元社)
★★★☆☆

エラリー・クイーン好きによるエラリー・クイーン好きのための物語、
といった感のあるミステリー。
エラリー・クイーンの遺稿を著者が翻訳したという形で、
来日したクイーンの関わる連続幼児殺害事件が描かれる。

わたしはエラリー・クイーンを読んだことがないため、
著作に関する謎解きの部分はまったくわけがわからず、
読み飛ばしてしまった。
『六の宮の姫君』は芥川・菊池作品を読んでいなくても
楽しめたのだけど……。
ミステリーもあまり読まないので「お約束」が身についておらず、
抽象的・観念的な犯罪のディテールに、
「どんな必要性が……?」
と思ってしまうのだけれども、
パズルのピースがぴたぴたとはまっていく展開には快感を感じる。
基本的に北村さんの本は悪く受け取れない、という
超個人的前提で★3つ。

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252:高橋文樹 『途中下車』

2006-11-20 15:10:32 | 06 本の感想
高橋文樹『途中下車』(幻冬舎)
★★★★☆

これも『だらしな日記』で紹介されていたもの。
幻冬舎NET学生文学賞受賞作。

両親の事故死をきっかけに、実の妹と性的関係を持ってしまう
大学生の主人公。
淡々とした語り口のせいか、インセスト・タブーの与える
グロテスクなイメージは希薄。
この手の物語は「実は血がつながってませんでした、ちゃんちゃん♪」
という古典的なオチで終わることが多い気がするだけど、
この話は、世間に暴かれる恐怖を描きつつ、そのまま突き進んでしまう。
そこが良いといえば良い。
抵抗はやはり感じてしまうけれど。

いわゆる「妹萌え」というものはまったく理解できず、
男性から見ると魅力的に見えるかもしれない主人公の妹も、
「なにが『アハッ』だ!」
と思ってしまうのだけど、それはわたしが女だからでしょうか。
妹の親友カズちゃんについて、
「恋愛に興味を持ち始めるに連れて…(略)…外見や性格など様々な
ステータスに関して優劣を付けたがる人格へと彼女が変わってしまった」
と述べている箇所があるのだけど、これはなかなかリアルだと思う。

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251:金井美恵子 『待つこと、忘れること?』

2006-11-20 13:24:54 | 06 本の感想
金井美恵子『待つこと、忘れること?』(平凡社)
★★★☆☆

雑誌の休刊によって掲載誌を移動しながら連載されていた(らしい)
食にまつわるエッセイ。
著者の本は『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄
に次いで二冊目。
センテンスの長い文(しかも話題が脱線しがち)に慣れず、
なかなか読むのに骨が折れたのだけど、
おいしそうな料理のレシピにおなかがすきます。
ところどころにさしはさまれる毒舌にもフフッと笑ってしまう。

それにしても、著者の挙げる映画や本は知らないものばかりで
「自分には知らないことがいっぱいあるのだなあ」と
当たり前のことを思ってしまう。

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250:大森望・豊崎由美 『文学賞メッタ斬り!』

2006-11-20 13:12:51 | 06 本の感想
大森望・豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』(PARCO出版)
★★★★☆

このところずっと仕事の本しか読んでいなかったので、
久しぶりに趣味の読書。

書評家二人の対談形式による、文学賞受賞作を中心とした
ブックガイド。
「文学賞ってこんなにあったのね~」とか、
「この人はこの賞から出てきたのか……」とか、
初めて知ったことがたくさんあって、楽しめました。
受賞作の話だけではなく、選考の裏話や選考委員にも
言及されていておもしろい。
「選考委員と選評を斬る!」の章で書かれている話なんて、
考えもしなかった楽しみ方。
「選考委員にキャラ萌え」って……
宮城谷先生は選評までも作品そのものなのね。

知らない本ばかりだったけれど、おもしろそうなものは
さっそくリストアップ。
酒見賢一『陋巷に在り』シリーズが読みたい。

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