岡崎祥久『首鳴り姫』(講談社)
★★★★☆
確か、角田さんのエッセイかなにかで紹介されていたもの。
二浪の末、大学の夜間部に入ることになった主人公。
首を鳴らす癖のある祖母の家に居候しながら大学に通い、
同級生の冨来子と恋に落ちる。
二人で過ごす部屋を得るため、嫌いな労働を始めることになるが、
いつの間にか心がすれ違っていく。
静かな夜の世界に、恋の始まりと終焉を描く青春小説。
タイトルからなんとなく昔話風の世界を想像していたのだけど、
まったくそんなことはなかった。
バブルの時代が舞台であるらしいのだけど、
特別時代を意識させるようなところはないし、作中世界に入りやすい。
男性のおだやかで淡々とした語り口で綴られているのだけど、
片想いの悶々とした気持ちや、親密になっていく過程でのときめきが
静かながらも鮮やかに描かれている。
待ち合わせて学祭に行ったり、学校帰りに夜の街を歩いたり、
真っ暗な教室で寄り添っていたり……学生時代特有の恋愛の風景に
うわーっと叫び出したくなる。
うらやましい~~!!
だってこういうのって、もう一度再現しようとしたって無理だもの。
そしていつの間にかすれ違い、破綻を迎える関係。
本当に「いつの間にか」で、なにか無力感のようなものを感じてしまう。
祖母と冨来子に共通する「首鳴り」の癖にいったいどんな意味があったのか
いまいちよくわからなかったのだけど、雰囲気がとても好きだったので
ほかの作品も読んでみたい。
★★★★☆
確か、角田さんのエッセイかなにかで紹介されていたもの。
二浪の末、大学の夜間部に入ることになった主人公。
首を鳴らす癖のある祖母の家に居候しながら大学に通い、
同級生の冨来子と恋に落ちる。
二人で過ごす部屋を得るため、嫌いな労働を始めることになるが、
いつの間にか心がすれ違っていく。
静かな夜の世界に、恋の始まりと終焉を描く青春小説。
タイトルからなんとなく昔話風の世界を想像していたのだけど、
まったくそんなことはなかった。
バブルの時代が舞台であるらしいのだけど、
特別時代を意識させるようなところはないし、作中世界に入りやすい。
男性のおだやかで淡々とした語り口で綴られているのだけど、
片想いの悶々とした気持ちや、親密になっていく過程でのときめきが
静かながらも鮮やかに描かれている。
待ち合わせて学祭に行ったり、学校帰りに夜の街を歩いたり、
真っ暗な教室で寄り添っていたり……学生時代特有の恋愛の風景に
うわーっと叫び出したくなる。
うらやましい~~!!
だってこういうのって、もう一度再現しようとしたって無理だもの。
そしていつの間にかすれ違い、破綻を迎える関係。
本当に「いつの間にか」で、なにか無力感のようなものを感じてしまう。
祖母と冨来子に共通する「首鳴り」の癖にいったいどんな意味があったのか
いまいちよくわからなかったのだけど、雰囲気がとても好きだったので
ほかの作品も読んでみたい。