乙川優三郎『冬の標』(中央公論新社)
★★★★☆
幕末の小藩で絵の世界に見入られ、画家の岡村葦秋に
師事することになった十三歳の少女・明世。
成長するにしたがって世間のしきたりと衝突し、
画家として生きたいという意志に反して嫁ぐことに。
婚家や女の立場にしばられ、数々の不運に見舞われながらも、
やがて同門の平吉や修理と再会して再び絵への思いを強め、
自分の道を歩みだすことになる。
ともすると「耐える女の一代記」になってしまいそうな展開なのだけれど、
明世の絵に向ける激しい情熱が前面に押し出されていて、
悩みつつも自分の道を進もうとする彼女の強い意志に
さわやかさを感じる。
前半ですでに何度かじーんと来てしまうエピソードが
さしはさまれていて、親子の情、師弟愛、同門の仲間たちとの絆や
姑との和解などなど、読んでいる間中、胸がいっぱい。
絵への情熱と重なったような恋もせつない。
このところよく名前を見かける機会の多かったこの著者、
要チェックだわー。
★★★★☆
幕末の小藩で絵の世界に見入られ、画家の岡村葦秋に
師事することになった十三歳の少女・明世。
成長するにしたがって世間のしきたりと衝突し、
画家として生きたいという意志に反して嫁ぐことに。
婚家や女の立場にしばられ、数々の不運に見舞われながらも、
やがて同門の平吉や修理と再会して再び絵への思いを強め、
自分の道を歩みだすことになる。
ともすると「耐える女の一代記」になってしまいそうな展開なのだけれど、
明世の絵に向ける激しい情熱が前面に押し出されていて、
悩みつつも自分の道を進もうとする彼女の強い意志に
さわやかさを感じる。
前半ですでに何度かじーんと来てしまうエピソードが
さしはさまれていて、親子の情、師弟愛、同門の仲間たちとの絆や
姑との和解などなど、読んでいる間中、胸がいっぱい。
絵への情熱と重なったような恋もせつない。
このところよく名前を見かける機会の多かったこの著者、
要チェックだわー。