
★★★★☆
青春は短くて、二度と帰らない季節だから
美しいのだなあ……というのをあらためて感じた最終巻。
誰もがほしい才能や能力、環境を手にしているわけではなく、
世の中の大部分は何者にもなれなかった人々で
成り立っているわけで、
なれなかった人間が、なれると信じていた頃を
まぶしさと苦さを感じながら回顧する、
そのセンチメンタルな部分に読者は
共感してしまうのだと思う。
実際、十七歳の女の子は、だれもが多かれ少なかれ
その年齢ゆえに客観的な視点に欠け、
自己中心的で勝手だと思うのだけど、
それにしたって南のあの再登場はないよな。
そして、伊藤くん……。
1巻から予想はしていたけど、やはりか。