金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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104:桜庭一樹 『荒野』

2011-08-29 09:12:12 | 11 本の感想
桜庭一樹『荒野』(文藝春秋)
★★★★☆

何人もの女性と関係を持つ恋愛小説家の父の側で
恋のために狂気をはらんでいく女たちを眺めながら
育ってきた荒野は、中学一年生になった。
父の再婚により、慕っていた家政婦さんは去り、
義理の母・蓉子さんと、その息子でクラスメイトの悠也と
一緒に暮らすことになる。
悠也とのぎこちない関係の中、父を取り巻いていた
「恋」のしっぽをようやくつかまえたが……

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恋と性と、少女の目から見た男女の愛憎の
なまなましさ。
昔の少女漫画のようだなと思ったら、
3部のうち2部はかつてライトノベルで出ていたらしい。
黒髪で巨乳で眼鏡……萌え要素満載の主人公が
いかにもそれっぽい。
そして主人公の好きな男の子が歳を重ねるごとに
だんだん少女マンガの王子様になっている
(性欲を感じさせないという点で)。
せっかくだから主人公ももっとドロドロすればいいのに!
と思うのだけど、まあ、お父さんだけで
おなかいっぱいかもね。

制服を着て、男子のからかいに涙ぐんだり、
両親の仲に胸を痛めたりする、
この年代特有のエピソードにときめく。
主人公と蓉子さんの関係もよかったな。
コメント
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