金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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97:重松清 『きみの友だち』

2012-08-15 09:26:13 | 12 本の感想
重松清『きみの友だち』 (新潮文庫)
★★★★☆

小学校時代の雨の日、交通事故にあって脚を悪くした恵美。
事故をきっかけにして、友だちの恵美に対する不満が
表に現れ、みなが恵美から離れていってしまう。
誰にも頼らず、誰も助けずに生きて行こうと決心した恵美だが、
運動のできなくなった彼女は、病気がちな由香ちゃんと
行動をともにするようになる。
恵美とその弟、周辺の小中学生を主人公にした連作短編集。

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八月の上旬に読んだのだけど、忙しい時期だったせいか、
感想を書くのをすっかり忘れていた。
かなーり前、これが雑誌連載されていた時に
恵美と由香ちゃんの関係の結末の部分だけ読んで、
仕事で「これがいいです!」とプッシュしたものの、
内容と「不完全な二人称」が理由で却下されたのであった。
読んだのはその部分だけだったので、
通して読んだのは初めて。

小中学生の人間関係の中に見える、微妙な意地の悪さとか
いやらしさ、ぞっとするような悪意なんかも
描いているのだけど、全体的にテイストは甘め。

弟のブンが可愛い。
なんでもできて、負けたことのない小学生の彼が、
同じくなんでもできる転校生のモトくんに対して
敗北を認めざるを得ない状況になったときのモヤモヤ、
そこでお姉ちゃんに電話しちゃう「弟」っぷり。
その後の中学生になってからのモトくんとの関係もいい。
そして、オールマイティなんだけど選ばれないモトくんも
いとおしい。

個人的に、最終話が興ざめだったので★4つ。
語り手が出てくるのがあまり好きじゃないのだと思う。
「きよしこ」は語り手が冒頭に出てくるだけだったから
それほど気にならなかったけれど、
これはフィナーレにあたる部分で前面に出てこられてしまったので
かなり白けてしまった。


コメント
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