金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

102:梅原猛 『隠された十字架―法隆寺論』

2012-08-25 11:31:54 | 12 本の感想
梅原猛『隠された十字架―法隆寺論』(新潮文庫)
★★★☆☆

いろんなところで紹介されてるのを見るたびに、
「ああ、読もうと思ってたんだった」
と思いつつ、ずーっと手をつけていなかった本。
聖徳太子が創建したと伝えられる法隆寺だが、
それは本当なのか?
法隆寺はいつ、だれが、何のために建てたのか?
と、定説の呪縛から離れて法隆寺の謎に迫ろうとする。
法隆寺は、その子孫を策謀によって殺害された聖徳太子と
その一族の怨霊を鎮めるために、
藤原氏によって建てられたというのが筆者の主張。

ミステリーの様相を呈していて、
第二部の途中まではおもしろかったんだけど、
ホント、読むのに疲れた……
連載物だったせいか、重複する内容が多いし、
ツッコミが追いつかない。
文字史料の少ない古代は特にそうなんだろうけど、
「史料にはバイアスがかかっているから、真実だと言えない」
「定説はここがおかしい」
と否定することはできても、自説を裏付ける史料もないわけだから
「間違いない」と断言しちゃダメだと思うんだよね。
根拠も示さずに「これは創作、架空の人物」と断定したり、
推論がいつの間にか確定した事実になってしまったりしているのが
ストレスになって、後半は読むのがつらかった

余談だが、わたしは「不比等」も「史」も幾度となく目にしていたのに、
読みが同じ「ふひと」であるってことにまったく思い至らなかった!
なんかショック。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする