金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

93:山口謠司 『ん―日本語最後の謎に挑む』

2012-08-09 08:07:04 | 12 本の感想
山口謠司『ん―日本語最後の謎に挑む』(新潮新書)
★★★★☆

図書館で見つけて借りてきたもの。
それほど深く心に留めていたわけでもないし、
調べようと思ったことはないんだけど、
仕事をしている中で
「どうして五十音図の中に『ん』が含まれていないのか」
「古典の助動詞『む』に『(ん)』と併記されているのはなぜか」
(なぜ「む」を「ん」と読むのか)
というのはちょっと引っかかってはいたのよね。

わたしには言語学の素養がほとんどないので、
「子音の『m』『b』『p』の直前には『n』ではなく『m』を書く」
というヨーロッパ諸言語のルールも知らず、
本全体を新鮮な気持ちで読めた。
「上代特殊仮名遣い」も、なんとなーく「そんなものがあるんだなあ」くらいの
認識だったので、具体的にどういうものなのかがわかってすっきり。
なぜ「ヤ行」の「イ」段と「エ」段は「ア行」と同じなのか、
仕事柄、説明する機会は多いけれど、実はよくわかってなかったんだなと
気づく。
発音の種類など、専門的でよくわからない部分も多いけれど、
「ん」という発音と文字に、天台宗や真言宗がかかわっていたこと、
まだ存在しなかった「ん」という文字の代わりに、
撥音を表すさまざまな記号が作られては、定着せずに消えていったこと等々、
初めて知ったことがたくさん。

ひらがな「ん」の初出は明らかにされていたけれど、
カタカナ「ン」の形がどのようにできたのかが述べられていたのに対し、
ひらがな「ん」がどのようにできたのかが書かれていなかったのは、
すでに説が定まっているから?
(「无」の草体だというのは今wikiを見て知った)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする