金木犀、薔薇、白木蓮

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映画:『犬王』

2023-08-15 19:23:08 | 23 本の感想
2023年の映画⑩『犬王』(湯浅政明 監督)
★★★☆☆3.5
 
【Amazonの内容紹介】
 
室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。
周囲に疎まれ、その顔は瓢箪の面で隠された。
ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。
名よりも先に、歌と舞を交わす二人。
友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。
一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。
「ここから始まるんだ俺たちは!」
壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。
呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。
乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、
お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして
人々を熱狂させていく。
頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――?
歴史に隠された実在の能楽師=ポップスター・犬王と
友魚から生まれた、時を超えた友情の物語。
 
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Amazon primeにて。
 
犬王って、実在の人物だったんだな!
観阿弥・世阿弥の時代に同じく猿楽で名を馳せ、
でも彼の作品は残っていないという。
 
南北朝の争乱から、北朝の正統性を裏付けるための草薙剣探し、
平家の怨霊と平家物語……と平家が絡んでくるのを
おもしろいと思って見ていたのだけども、
原作が、アニメ「平家物語」の原作と同じ作家さんだった。
たぶん、原作のほうではよりつながりが
わかるようになっているのだろう。
 
音楽も演出も、さすがに現代風すぎるのだけども、
犬王の新しさを見せるのにはよかったと思う。
ただ、えんえんと犬王の出し物が続くので、
何度か残り時間を確認してしまった。
つまり、あまり作中世界に入り込めなかったということ。
 
友魚が自らつけた名、座の名を捨てることを頑として拒んで殺されるのに対し、
犬王は変節した、そのあたりの部分がわりと駆け足で流されたので
「友情の物語」という紹介には首をかしげてしまう。
いちばんよかったのは、犬王が異形の子として生まれてきた事情。
ここが最も芸に生きるものの業、エンターテイナーとしての宿命みたいなものを
表していたと思う。
 
ちょっとおすすめしづらいのだけども、
原作に興味がわいた時点で、やはりおもしろかったのだと思う。
 

コメント
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