ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に
通い始めたぼく。
人種差別丸出しの移民の子、
アフリカからきたばかりの少女や
ジェンダーに悩むサッカー小僧……。
まるで世界の縮図のようなこの学校では、
いろいろあって当たり前、でも、
みんなぼくの大切な友だちなんだ――。
優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、
ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。
最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。
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売れてて話題になっていたのは知っていたのだけど、
フィクションだと思ってた。エッセイだったのね。
前半は、「なんで売れたんだろう」と思っていた。
クオリティが低いとかつまらないとか、
そういうことではなくて、
「ウケた要素」がわからなかったから。
でも、一冊通して読んでみると、わかる。
今まで日本社会が見て見ぬふりをしてきた、
直面しないで済んできた問題点を突きつける本でもあるし、
決して堅苦しい内容ではないけれど、
今後のヒントになる本でもあるからだ、たぶん。
問題点は日本だけの問題じゃないけれど、
地理的な要因で特に直面しないで済んできた部分は
確かにある。
私は倫理観は、おおよその部分において
時代が進めば進むほどアップデートされていっていると
思っているけれど、
そこに学校教育が寄与している部分って
今まで思っていたより大きいのだろうな。
差別意識は学校をとうに離れた大人の方が強い。
筆者たちが日本に来たときのエピソード、
読むのがつらかった。
こんなふうに親子で考えを話し合えるのは
すばらしいな。
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