金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

26:島本理生 『リトル・バイ・リトル』

2005-06-08 22:39:21 | 05 本の感想
島本理生『リトル・バイ・リトル』(講談社)
★★★★★

『生まれる森』より好き。
日常を淡々とつづった物語ではあるのだけど、
静かにゆるやかに、主人公の父親に対する認識の変化や
恋が描かれていて、おさまりのよい印象。
前向きで、記憶にそっと寄り添ってくるような物語です。
男の子が礼儀正しく、誠実で、素敵。
彼の読んだという本が那須正幹の『The End Of the World』
だということはすぐわかったのですが、
あの本は個人的に苦手。子ども向きじゃないと思う。
救いがなくて、気分が重くなってしまいましたよ。

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映画:『櫻の園』

2005-06-08 22:37:21 | 映画の感想
『櫻の園』(中原俊 監督)
★★★★★

中学生の頃、地元の図書館に映画を見られるコーナーがあって、
そこでこの映画のジャケットを目にしました。
(あれはなんて言うのだろう・・・レコードみたいな円盤を
 デッキにセットして見るのです)
気になってはいたのだけど、見ることはないまま。
先日たまたま吉田秋生の原作を読む機会があったので、
借りてみました。
原作は主人公を変えた連作だったのだけど、
映画版は主人公をしぼった、かなりオリジナル色の強い物語。
とりとめのない女の子たちのおしゃべり、微妙な人間関係、
クラシックな造りの校舎に差す、明るく透明な光。
少女時代の終わりにさしかかった時期の、
そのただ中にいるときには気づかない、
まぶしいようなはかない輝きを感じます。
髪型やメイクはやっぱり時代を感じるのだけど、
それでもみんな可愛らしい。
実際のところ、中学・高校時代の女の子はこんなもんじゃない、
と知っています。
それでもやっぱり、少女時代にはこんなやさしい、澄んだ一面が
確かに存在するような気がするのです。

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25:吉田修一 『パーク・ライフ』

2005-06-07 22:35:37 | 05 本の感想
吉田修一『パーク・ライフ』(文藝春秋)
★★★☆☆

芥川賞受賞作品。
「パーク・ライフ」と「flower」の二編が入っています。
表題作はつかみどころのない物語。
オビには「他人だから、恋がはじまる」と書かれていたけど、
恋愛色も希薄。
なにも始まらず、なにも終わらない。
公園に通う主人公の周辺が淡々と描かれます。
おだやかな物語はきらいじゃないのだけど、
「えっ、これで終わり!?」
と肩透かしを食わされたような気分。
わたしは文学というものを、まったく理解できていないようです。
でも全体に流れる雰囲気や文章は好きなので、
別の本も読んでみたい。

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24:高野和 『七姫物語(2) 世界のかたち』

2005-06-05 22:34:12 | 05 本の感想
高野和『七姫物語(2) 世界のかたち』(電撃文庫)
★★★☆☆

あいかわらず可愛い空澄。
それぞれの姫、それぞれの都市、それぞれの身分の人々の、
思惑と利害が絡み合い、物語が進んでいくあたりは
歴史小説と似たところがあります。
次巻では、新たな動乱が起こりそうですね。
七人のお姫さまと都市の名前が覚えきれず、
「あれ、これって誰だっけ??」
と混乱すること数回。
わたしの読解力に問題があるのか、文章の特徴のためか、
なにが起こったのか、なにを言っているのか、
正確に理解できないところがいくつかあって、それが残念。
三巻に手を出す前にもう一度読み返しておかないと。

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23:乙一 『死にぞこないの青』

2005-06-05 22:32:51 | 05 本の感想
乙一『死にぞこないの青』(幻冬舎文庫)
★★★☆☆

ささいなきっかけで人気者の担任の先生に嫌われ、
いじめのターゲットにされる男の子の話。
気分が重くなるし、好みで言ったら好きじゃないのだけど、
子どもの立場、先生の立場、双方の視点からよくわかる話。
小学校の教室では、先生が絶対の秩序なんですよね。
最近はそうでもないみたいだけど。
先生に理不尽な扱いを受けても、対抗する手段を子どもは持たない。
小学生だったころを思い出しました。
理不尽という言葉はもちろん知らないし、
どこがどうおかしいのか説明もできなかったのだけど、
親にもいえないもやもやが胸に残って、
今になってもそのときの教室の風景はよく覚えているのです。
暴力の描写も気分が悪いのだけど、なにより、教職にありながら
次々とあんなひどいことをできる羽田先生が恐ろしくて、
暗澹たる気分になりました。

でも、ビックリマンシールにスーパーマリオ、ゾイド、
教科書に載ってたカブトガニの話……などなど
同世代!というのをひしひしと感じてうれしかったな。

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22:村上春樹 『ノルウェイの森(上)』

2005-06-04 22:30:29 | 05 本の感想
村上春樹『ノルウェイの森 上』(講談社)
★★★★☆

村上龍はけっこう読んだのだけど、村上春樹は、
「名前が硬派じゃない!」といういちゃもん同然の理由で
きちんと読んだことがありませんでした。

ああ、もっと早く、たとえば高校生とか大学一、二年生のころに
読んでおけばよかった!・・・と思いました。
たぶん、年を重ねるごとに感じるものが大きく変わる物語。
19ページめ、
「何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ」
の時点で猛烈に悲しくなってしまいました。
書かれている内容は結構激しい気がするのだけど、
濾過されたように透明で、悲しい、死の匂いを感じる物語。

まだ上巻しか読んでいないので、とりあえず、
好みの度合いは★四つ。

それにしても主人公、やけにモテモテですね。

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