金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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32:大崎善生 『アジアンタムブルー』

2005-06-14 22:50:59 | 05 本の感想
大崎善生『アジアンタムブルー』(角川書店)
★★★★★

まず、装丁が素敵。
半透明の紙におおわれていて、植物の緑が霞んで見える。
愛する人の死と、喪失の苦しみ、
そこから立ち上がっていくまでの軌跡の物語。
『パイロットフィッシュ』と内容がリンクしていて、
それゆえ故意になのか、似たモチーフがいくつか。
余分なものをそぎ落とした末に残った、愛の物語です。
葉子よりも、美津子先輩の言葉、
「これから先、どんなことがあっても頑張るのよ。
 女の子を大切にする優しくて格好いい男になるのよ」
に心が揺れた。
はっきり言って、女性に対する願望というか、
妄想めいた部分にはうんざりするのだけど、
(美術室できれいな先輩がパンツ脱ぐとか……)
それでもやっぱりこの人の書く恋愛小説は好きです。
諦観の先にきれいな夢を見させる。

コメント
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