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★★★★★
【Amazonの内容紹介】
ほんまに悲しいときは、男の子も、泣いてもええんよ──。
城山家の、男ばかり六人兄弟の五番目のハァちゃん。
感受性が豊かなあまり、幼稚園の先生が辞めると聞いては泣き、
童謡に出てくるどんぐりの行方を案じては泣いてしまう。
家族に見守られ、友人たちと野山を駆け巡って、
力強く成長してゆく過程を瑞々しく描く。
心理学者・河合隼雄の遺作となった、せつなく温かな自伝的小説。
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わあ、これはいいなあ……!
遺作ということで読んでみたものの、仕事で何冊か読んだ
他の著作があまり好きではなかったので期待していなかった。
読んでみると、思いがけず好みで、よいお話だった。
子どもらしい未熟さを持ちながらも繊細で心優しいハアちゃんと、
彼を取り巻く家族のあたたかさに胸がきゅんとなる。
戦争の気配はあるものの、そこまで色濃くはなく、
家父長制の時代であるけれども、
リベラルで教養人らしいお父さんと品よく優しいお母さんが
子どもたちのサンタさんに対する疑惑を晴らすべく
対処するお話がユーモラスで可愛らしく、印象的。
おすすめ!