父の代より当院におかかりの患者さんから「待合室で声が聞こえてくるとお父上の声にそっくりだ」と時々いわれる。自分では亡き父の声に似ているとは思わないが、きっと周りで聞くと似ているのだろう。おそらく生まれてからずっと父の声や喋り方を聞いて育てば、知らず知らずのうちに似てくるものだろうとも思う。それにしても父と同じ生業で同じ場所で同じことをしているとは不思議な感覚である。50年前に父が撮ったとげ抜きさんの写真をアップしたが、その50年後に父が立ったのと同じ場所に自分も立ってシャッターを切った。そう思ったら同様に「昔ちょうどこの場所に父が立って同じことをしていたんだなあ」という奇妙な感覚を覚えた。