昨日、アイドルグループの女の子が、TVのイベントでパーティグッズの声色の変わるヘリウムガスを吸って意識不明になったと、ニュースでやっていた。診断は「脳空気塞栓」だそうだ。諸検査でそうなのであるから空気塞栓なのだろうが、通常では考えられない病態である。まずこのグッズであるが、その組成は「ヘリウム80%、酸素20%」とTVで報道していた。これを聞いて「ああそうか」と思った。我々がいつも普通に呼吸している大気の酸素濃度と同じにしてある。これなら「低酸素血症」になることはない。でもたぶんスプレー缶に注入されているのでそれは高圧に充填されているのであろう。一方空気塞栓が時に見られるものでスキューバダイビングは有名である。確かにダイビングでは空気塞栓は注意すべき合併症ではあるが、エアボンベの酸素濃度も空気を詰めているので大気(窒素80%、酸素20%)と同じである。この場合の空気塞栓は、海底深く潜っていったとき水圧が高い状態になり、その後、急浮上などの急な減圧をしたときに血液中の溶存窒素が気泡化して脳の血管をふさぐのである。それが空気塞栓である。
一方ヘリウムは今回の場合周囲環境が1気圧で、しかも気圧の変化もないところで果たしてこのように血液中で気泡になるのであろうか?
一方ヘリウムは今回の場合周囲環境が1気圧で、しかも気圧の変化もないところで果たしてこのように血液中で気泡になるのであろうか?