この間の経緯は何度も書いたので、またかと思われるかもしれない。しかし、その変貌はここ2、3年、本当に早いのだ。新しく建つ家屋も、機能本位の無国籍風が多く、その間を縫って歩く気も起こらない。最近、この近辺をうろつく機会もめっきり減ってしまった。
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しかし、これでは足腰の衰えに対抗できないと、数日前、昔からあった集落の中を歩いてみた。結論をいうなら、ここでもがっかりさせれれることが多かった。
昔の農家の常として、槇の生け垣などに囲まれた屋敷内に、住居のほか、そこそこの畑をもっていて、そこでは自家消費用の様々な作物が小分けされた面積で栽培されていて、それを覗き込むのが楽しみだったのだが、いつの間には生け垣はなくなり、かつての畑にはコンクリートが敷き詰められ、貸駐車場になっていたりする。
また、どっしりした伝統的な日本家屋風の母屋が取り壊され、コンクリートの四角い塊りの家屋に化けていたりする。
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そして、こうした昔からの集落の中や周辺に、廃屋化した建物が交じるのだ。
ここに載せるのは、二軒ほどだが、荒れ放題の生け垣の中で写真に撮れなかったところなどを含めると、この日、一つの集落の中のみで、数件のそれが確認された。
集落のはずれの、つい先ごろまで田んぼであったところに林立する住宅の新市街とは対象的な光景である。
次に載せているのは、私の家の二階から数十年にわたってウオッチングしてきた二反の田んぼの耕し手の屋敷内で、彼は数年前に急逝したため、今はもう使われなくなった農機具などがアトランダムに置かれている。
ここは私の家から離れてはいるが、ここから彼はそれらの農機具を運転したり、トラックに乗せて運んだりして私の家のすぐ近くの田へやってきていたのだった。
そしてその田は、今や埋め立てられて、コンビニとコインランドリーが華やかに営業していることは以前書いた。
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彼の屋敷内に散在している農機具は、こうしてみてもいかにも古臭い。それは彼の死後、もう何年も経っているからではない。彼が生前使用していた折に、それはすでに古びていて、知り合いの農機具メーカーの人も、もうこんな機械使っている人は日本中探してもめったにいないと太鼓判を押していたほどなのだ。
そうしたエピソードも含めて、ひとり黙々と作業を進めてきた彼の人柄のようなものが偲ばれる光景である。
最後に、彼が健在で自分の田で作業をし、それを私が2階からウオッチングしていた頃の写真を載せておく。
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1枚は夏の終わり、風になびく田のまさに穂波の様子。あとの2枚は刈り入れの様子。いずれも2010年代なかばのもの。
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いまは24時間営業で終日灯りが絶えないコンビニやコインランドリーの箇所に、ほんの何年か前までこうしたのどかな田んぼが広がっていたことを知る人は少ない。
私のようにそれを知ってる者でも、かつての田園風景は記憶の底に押しやられがちで、それ自体が夢幻のように思えてしまうのだ。