私がPCや読書に疲れてフト目を上げる光景が華やいでいる。
このまえまでは新緑一色だったのが、そこへツツジの白が加わったからだ。
格子があるのは、別に牢獄にいるからではない。
二階の部屋だから、ベランダの手摺りがあるのだ。
手摺りの間からは下の写真のようになる。
ベランダには久々の陽光で、木のシルエットがくっきりと模様を記している。
この木は、桑である。
ツツジも桑も、そしてツツジの背後のマサキも、ともに50年近い樹齢で、私とは長い付き合いである。
桑は伸びすぎるのでときどき伐るのだが、それに抗うようにさらに伸び続ける。
その生命力たるやすさまじい。
だからこそ、あんなに食欲旺盛なお蚕さんの飼料になるのだろうと思う。
あまり浮かれてもいられない。
さきごろなくなった旧友のPCにあった遺稿が、その親族の方から送られてきた。
膨大な数であり、メモ程度のものや、起承転結がはっきりしているものなど、千差万別だ。
一番最近のもので、しっかり書かれているものは、私が同人誌に載せた小論への批判であることはいくぶん皮肉だが、それだけ最後まで気にかけていてくれたと解したい。
彼を偲びながらじっくり目を通したい。