■日曜午後9:00からの「NHKスペシャル 臨界世界 ON THE EDGE 生か死か 難民たちの”ゲーム” 」が凄まじかった。
■それがあることを薄々は知りながら、避けて通りたい世界の現実。
■多くの人たちが、祖国の悲惨さ、政治的抑圧の中で難民化し、自由な生活を求めて主としてEU圏を目指す。
■しかしそこには、数々の国境という難関、しかもそれら難民を排除し、消滅させることも辞さない警備陣が控えている。
■それらの難関を突破することを謳い文句にする「運び屋」という闇ルートの商売人たちがいる。
■彼らが確実に目的地へ届けてくれる保証はない。しかし、その彼らにすがることなく窮地から脱出できない現実。
■運び屋はその折々の相場に応じて金額を設定し、それを支払う者を「脱出ゲーム」に゙参加させる。
■アジアからの脱出のルートはトルコ経由のバルカンルートが主流であった。
■しかし、その警備が厳しくなった今、新たにロシアルートが注目されているという。ロシアからベラルーシュを経由し、ポーランドからドイツへという経路である。
■だが、このルートにはまた、新たな難関がある。ベラルーシュで捕らえられた難民は、気がついたらロシア軍の兵卒として、ウクライナ戦の最前線に配置されていたりする。
■そうでない者たちも、ポーランド軍の国境警備兵により、ベラルーシュへ押し返され、抵抗する者たちへの発砲もあり、国境付近には行場を失った負傷者、病者、食にありつけない飢餓民たちがたむろし、そこで死す者たちも多い。
■それを援助しようとする難民支援組織の女性活動家が、ポーランド兵と渡り合って救援活動を展開するのには頭が下がる。
■そうした難関をなんとかくぐり抜け、例えばドイツへ到着した難民たちが救われるかというと必ずしもそうでもない。
■ドイツはもはやメルケルの時代ではない。難民、移民の排除を訴える極右政党が野党第一党であり、与党も彼らの協力なくして政権運営が不可能なのだ。
■憧れの地で食えない難民たち。彼らの一部が、あれほど彼らを搾り取ってきた運び屋に、今度は自分がなろうという皮肉なシーンも伝えられる。
■これらの現実を突きつけられても、私はそれを知るだけで全くの無力である。何も出来はしない。
■しかし、私たちがのほほんと暮らしている裏側で、こうした生死を賭けた営みが行われているという現実を知ること自身、あるいはそれを人に伝えること自身が、バタフライ効果のようにいつの日にかそうした悲惨の解消に繋がればとも思う。
■などと言っても、所詮は罪滅ぼしの主観的願望に過ぎないことを重々自覚しながらこれを書いている。