まったく私には関心のない元号騒ぎとそれに伴う十連休が近い日、「小笠原宣・荻下丈二人展 旅の途中でジョー君とであった」に出かけた。
入場は無料である。
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場所は十六銀行旧徹明町支店で、いまは岐阜市の歴史的建造物に指定されている「じゅうろくてつめいギャラリー」。昭和十二年に建設されたこの建造物は、戦火をくぐり私とほぼ同年を生きてきた。だから内部には、往年の金庫がデンと控えている。
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二人展だが、この二人が対照的だ。
小笠原氏は1952年生まれ、岐阜市の出身で、安井曾太郎の画業にちなんだ洋画壇の芥川賞ともいわれる安井賞を1984年に受賞しているベテランだ。
片や、荻下丈君は、2004年生まれ、若干15歳の大垣市の現役中学生である。
年齢差約半世紀、異色の取り合わせである。
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会場に入る。天井も高く、ゆったりした空間のなかに、作品が展示してある。
通常の展示と違って、一方向への流れというのとはちょっと違う。
「いらっしゃい」と近づいてきた作務衣の人に、「どちらから観るのでしょう」と尋ねたら、「どこからでもご自由に」とのこと。
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全体の作品の展示は上の案内のようで、小笠原氏の作品を取り巻くように丈君の作品が描かれている。そして、その接点には両者の合作、丈君の線描に小笠原氏が彩色したものがある。その意味で、この展示は二人の作品の並列ではなく、その差異そのものの提示であると同時にその融合の試みでもある。
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作務衣の人が小笠原氏だろうと当たりをつけて、二人の出会いを尋ねる。
その説明によれば、岐阜県展に出品された丈君の作品に県展審査員の小笠原氏が出会って以来だとのこと。
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それ以来出来上がってきたこの二人の関係、そして、この展示に至る過程を示す写真が会場で公開されているが、約半世紀の年齢差の両者が、マイペースでのびのびと作品を仕上げているのを観て、微笑ましいものを感じる。
なお、この写真は小笠原氏が住職を務める上宮寺(岐阜市大門町)の庫裡で撮られたものだが、小笠原氏はこの境内を、様々なアートフォーラムの会場として提供されていて、この5月1~6日には、写真展「around…」(入場無料)が開催される。
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二人の作風はまったく異なる。だからこそそのジョイントやオーバーラップした部分が面白い。小笠原氏が、丈君のマイペースを容認し、抱擁しつつ、その味を引き出しているように見受けた。
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実は、この美術展にでかけたのは、私が参加している同人誌の表紙の絵を丈君が描いていてくれるからである。私が行った日は平日で学校の授業があるため、丈君には会えなかったが、そのお母さんにお目にかかることができた。
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そこで私が冗談半分に、丈君がこれ以上有名になると、私たちの同人誌の表紙にはもう絵を提供してくれなくなるのではないかと言ったら、お母さんも、小笠原氏も、丈君に限ってそんなことはないと保証してくれた。
一見異質な二人の作品が、その実、相互に反響しつつ、有機的につながっていてとても楽しい展示だったので、もう一度全部の作品を観てから会場を後にした。
小笠原氏、お母さん、そして会えなかったけど丈君、ありがとう。
入場は無料である。
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二人展だが、この二人が対照的だ。
小笠原氏は1952年生まれ、岐阜市の出身で、安井曾太郎の画業にちなんだ洋画壇の芥川賞ともいわれる安井賞を1984年に受賞しているベテランだ。
片や、荻下丈君は、2004年生まれ、若干15歳の大垣市の現役中学生である。
年齢差約半世紀、異色の取り合わせである。
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会場に入る。天井も高く、ゆったりした空間のなかに、作品が展示してある。
通常の展示と違って、一方向への流れというのとはちょっと違う。
「いらっしゃい」と近づいてきた作務衣の人に、「どちらから観るのでしょう」と尋ねたら、「どこからでもご自由に」とのこと。
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作務衣の人が小笠原氏だろうと当たりをつけて、二人の出会いを尋ねる。
その説明によれば、岐阜県展に出品された丈君の作品に県展審査員の小笠原氏が出会って以来だとのこと。
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それ以来出来上がってきたこの二人の関係、そして、この展示に至る過程を示す写真が会場で公開されているが、約半世紀の年齢差の両者が、マイペースでのびのびと作品を仕上げているのを観て、微笑ましいものを感じる。
なお、この写真は小笠原氏が住職を務める上宮寺(岐阜市大門町)の庫裡で撮られたものだが、小笠原氏はこの境内を、様々なアートフォーラムの会場として提供されていて、この5月1~6日には、写真展「around…」(入場無料)が開催される。
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実は、この美術展にでかけたのは、私が参加している同人誌の表紙の絵を丈君が描いていてくれるからである。私が行った日は平日で学校の授業があるため、丈君には会えなかったが、そのお母さんにお目にかかることができた。
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そこで私が冗談半分に、丈君がこれ以上有名になると、私たちの同人誌の表紙にはもう絵を提供してくれなくなるのではないかと言ったら、お母さんも、小笠原氏も、丈君に限ってそんなことはないと保証してくれた。
一見異質な二人の作品が、その実、相互に反響しつつ、有機的につながっていてとても楽しい展示だったので、もう一度全部の作品を観てから会場を後にした。
小笠原氏、お母さん、そして会えなかったけど丈君、ありがとう。