六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

秋たけなわの川柳もどき

2009-10-10 15:30:50 | 川柳日記
 
       もうすっかり終わりましたね。これは先月末のものです。


  
    米洗う手になっている月曜日
    憎しみを少し混じえて米を研ぐ


  写す
    斜めから写せば遠くなるあなた
    モノクロの写真に棲まう夜叉が笑む


  
  雑詠  
    甘言に騙されたふり梨を剥く 
    昭和には昭和の掟いわし雲
    夜逃げした友と語らう「山月記」
    踵まで滲みる言葉で諭される
    終章に執行猶予付けてみる
    ここへきて薄暮の鳥のから騒ぎ

  
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声が出なくとも歌え! 付・六の川柳もどき

2009-05-05 03:27:19 | 川柳日記
 ここ何日か外出らしい外出はしていなくて、人と話す機会もなく過ごしています。ほとんど口をきいていないのではないかと思います。
 
 今日(4日)母の病室へ行った折り、たまたま看護士さんがやってきたので最近の容態などにつき話をしようと口を開いたのですが、声が出ません。なんか、かすれたヒュウヒュウという呼吸が漏れるのみです。慌ててエヘンエヘンと繰り返してやっと声が出るようになりました。

 よくほら、老人は一度寝込んでしまうと再び足腰を動かすのが困難になるといいますが、あれと同じでしばらく声を出していないとしゃべることが出来ないのですね。事前の発声練習が必要なようです(アーアーアー、本日は晴天なり、本日は晴天なり)。
 
 
 
 しばらく前にも、同じような思いをしたことがあります。
 友人で最近、連れ合いに先立たれたのがいて、私を含む高校時代の悪ガキが集まって看病の慰労と男やもめの無聊を慰めたのですが、その折り、最後はカラオケということになりました。

 しばらく歌など歌っていません。
 私の番になったのですが、やはり声が出ないのです。いや、声は出るのですが歌声にならないのです。かつて、天使の歌声、今池のウィーン少年合唱団(ひとりで合唱団かよ)といわれたこの私においてです。

 やはり、声は使うべきでしょう。それは同時に、他者との会話の必要性でしょうね。それを通じて論理の組み立てや情感の表現など、発話に伴う力の発現が促されるということでしょうか。ひとりで自分と対話しているのみではダメだということでしょうね。

    
 
 誰か私に話しかけたり、私の話を聞いてくれる人はいませんか、ってこちらがアクティヴにならないと無理なんでしょうね。
 さいわい、5日は人と会います。思いっきり話をしてきたいと思うのですが、お喋りと思われるだけだろうなぁ、たぶん。でも、それでいいっか。

カラオケで私が唄った歌
 1)モーツアルト作曲 K627  「再会」
 2)   同     K628  「上海帰りのリル」

<蛇足>忌野清志郎のように「君が代」を歌えたら、私も「君が代」を好きになると思います。
 ついでながら、忌野清志郎を国民的歌手として今さらながらあがめているマスコミの皆さん、あなたたちは彼の上記の「君が代」や反原発の歌を集めたアルバム「COVERS」が発売禁止になった時、何かアクションを起こしました?知らない振りをしたのみでしょう?
 彼の魂の歌を聴かず、その表層だけを捉えて国民的な歌手に祭り上げるのはどうなんでしょう。
 
 

<六文錢の川柳もどき>


薄情な地図には宝島がない
沈黙を無人島へと埋めに行く
島抜けをしてきたようにほくそ笑む
無人島なくし少年期を終える

立つ
真っ直ぐに立てばキリンの視野となる
立ち位置をずらして海を探してる
ちょっと見は無邪気に佇立赤ポスト


地図にない橋を渡れば母が笑む
この橋は渡り終えたら落ちる橋

逢う
おぼろ月滲む言葉で逢っている
どの顔で逢うか決めかねている宵
ふたたびは逢うか逢わぬかやじろべえ

ハンカチ
ハンカチを振れば波立つ海がある
ハンカチの対角線にある寡黙
ハンカチを振って別れは文語調





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スランプの中の「川柳もどき」

2009-02-27 17:52:36 | 川柳日記
 親しい友人から「おみゃぁさん、この頃川柳ちっとも載せえへんけど、どうしてりゃあす」との誘い水。
 「どうもこうもあらへんぎゃぁ。いろいろ草臥ぶれてまって、川柳どころでにゃぁであかんわ」
 と答えたものの、多少は書きためたものがあったのでそれを載せます。
 
 というわけで、スランプの中の作品だと言うことを承知の上で読んでちょうでゃあ。


 

少年
 少年と赤いリンゴと敗戦と
 時刻表なく少年はひた走る

笑う
 気が抜けたビールのように笑えます
 踏ん張って笑わなければ流される

驚く
 突き出されあっと驚くところてん
 驚いた頃の想い出桜餅

かたち
 かたち脱ぐ 譲れないものだけ残る
 沈黙のかたちを満たすコップ酒

崩れる
 手紙焼く もう崩れぬと決めた朝
 不可逆の崩れ青年の日終わる


雑詠
 鯨には鯨の悲哀 なあ目高
 白昼夢ここが最後の待避壕
 心理学はみ出す余剰吠えてみる
 吠えてみろ 誰かがとんで来るはずだ
 心中の片割れのごと昭和生く
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今年最後の川柳もどき いいお年を!

2008-12-31 04:53:35 | 川柳日記
 今日はおせち造りで忙しいのです。
 そこで今年最後の書き込みは手抜きで、秋以降の川柳もどきです。
 みなさんいいお年を!
 来年もよろしくねっ!


 
 



<流す>
 温もりは流してきたよ 重いから
 聞き流すことが出来れば円い月


    
    



<芸>
 古稀迎う 切られ突かれが芸となる
 芸なのであろう別れに浮かぶ笑み


 
 



<林檎>
 控えめな林檎の種の物語
 林檎磨く 世界の汚点消すように


 
 



<誓い>
 やんわりと誓いの言葉ひらがなで
 匿名の誓いに包囲されている


 
 



 馬鹿騒ぎ晴れのち曇り失語症
 自画像をつつけば赤い不発弾
 生まれるというならここへパスワード
 思い出せない名だ とても重いはず
 不都合な星は墜として生き延びる





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読めない字当用漢字から外す

2008-11-18 15:37:57 | 川柳日記
 久々の時事川柳です。拙速の感は免れません。

 

  不景気を追い風にして居座る気
  本心は不景気続けいつまでも
  不景気が去れば手柄にするつもり

  ばらまきがばらつきとなる茶番劇
  呉れてやる有り難がれの給付金
  買収も政府がやれば給付金
  くれた分以上に消費税でとる

 

  昼下町夜はホテルのバー視察
  政務より葉巻やバーが似合う人
  読めない字当用漢字から外す

 

  作文が文民の統制笑う
  行間に軍靴の響き潜ませる

  落とし穴自分で掘って落ちるひと
  高名もいつか虚名になる定め
          (小室さん)

 

  乱高下してまた今日も胃酸過多
  株持たぬ身にも迂回をして被害

  惚れられで止められなくて出るくしゃみ
  隣家からくしゃみ聞こえる秋夜長
     類似句があったかも知れません。

 

  病床の母新米をもう研げず
    <昨年の句新米研ぐリズム確かで母達者




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古代の人たちと出会う?

2008-10-14 04:46:01 | 川柳日記
 若い人たちとアリストテレスの勉強をしました。
 アリストテレスについては、哲学史上での位置など漠然としてイメージはもってはいましたが、これを機会に改めて、彼の中心的な概念などを確認することが出来ました。

 アリストテレスは、プラトン以前のギリシャ哲学をディコンストラクションすることによって、真に西洋形而上学の父たり得たように思います。
 その意味で彼は偉大です。
 だからこそ、後世の哲学者たちが彼を参照し、とりわけ西洋形而上学を止揚しようとしたハイデガーなどもまた彼を参照したのでした。

  

 そうした勉強をする中で、私はその頃の古代の人たちに会いたくなりました。
 彼や彼女たちは、どのような表情で、どのようにしてあの偉大な思考を紡ぎ出したのでしょうか。
 ヨーロッパの思想家たちがともすればそこへと自説のルーツを言い立てるその時代の人たちは、どんな人たちだったのでしょうか。

  

 でもって、会いに行ったのです。
 岐阜の郊外のとある場所ですが、古代の検証に疎い私は、ここで出会った人たちがアリストテレスの時代のそれであるのか、或いは全く別であるのかの判断は不能なのです。
 でも、それらしい雰囲気はあります。

  

 この像たちは、その一人一人が特定可能なのでしょうか。
 ただただ無責任で夢想家に過ぎない私は、それらしいものに出会ったというそれだけで満足したのでした。
 でも、彼や彼女らの表情はどれもはっきりと、かつくっきりとしています。
 ヨーロッパ自身は私が思う以上に実際には多様なのでしょうが、これらの像の表情に、まさにヨーロッパを見てしまうのは私の主観だけではなく、ヨーロッパ自身がおのれをかく表象化してきたことの結果ではないかと思うのです。

  

 そしてそれらは、異種的なものを排除し、純化されたナチスの(ハイデガーの?)ヨーロッパへと至るのですしょうが、それは私の任を越えた領域かも知れません。
 とりあえずは、私が古代人と勝手に決めつけた人々のはっきり、くっきりの表情をもって満足しておきましょう。




 


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蕎麦たぐる 地軸傾く二、三寸

2008-07-08 00:22:20 | 川柳日記
    
       水のある風景 岐阜市加納天満公園 清水川

歩く
 こんなにも歩幅が違う人といる
 頑なに歩けば不意に海がある

 
     水のある風景  木曽川からの取水溝 笠松町
 
時計台
 わたくしの時計台には針がない
 振りまいた時を悔やんで時計台

 
       水のある風景 名古屋エンゼルパークの黄昏

麺類
 哀しみも絡み合ってる焼きうどん
 カップ麺底に残した白い月
 何はともあれ焼きソバに紅生姜
 蕎麦たぐる 地軸傾く二、三寸

 
      水のある風景  可児市 花フェスタ記念公園


 自画像に塗れない色が多すぎる
 もう戻れないこの色を塗ったから

    
      水のある風景 岐阜市荒田川 左前方が六のでた中学校
             もちろん当時は木造校舎


何でもない歌
 年輪の狭いところに住んでます
 つむじ風やはりここらが行き止まり
 立て板に流れる水を汲みに行く
 


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世の中をはらりと見せる観覧車

2008-05-27 03:52:04 | 川柳日記
 いろいろあるからといっていろいろ書けるものではありません。
 そんなときは、つぶやきのように言葉を思い描きます。
 そしてそれは、いつの間にか、日本語のもっているリズムである五七五に添っている場合があります。
 それを私は全く独断的にも川柳といっております。
 以下は、前にご紹介したそれの第二弾です。

 

<川柳もどき・その二>

*存在の仕方・2 
 
 枝豆のくびれ辺りにある悲哀
 まだ割れる 分子はさらに刻まれる
 手をつなげないわたくしは魚です
 ここからと剥がせばわたし反り返る

     

*削る
 
 夜削る鉛筆は鋭く尖れ
 削ったら出てきた赤い不発弾
 これ以上削れぬ嘘が多すぎる

*タンゴ
 
 口籠もるタンゴなどないさようなら
 ピアソラにほだされた夜の恋心

 

*天空 
 
 出てほしくない星も出る地平線
 不整脈あって二つの月が出る
 まあ座れ地球の客が茶を所望

 
 
*追悼 
 
 五月雨で火酒割って飲む山頭火
 ショスタコの五番友へのレクイエム


 

*世の中
 
 世の中をはらりと見せる観覧車
 修羅場への前売り券をもってます
 常識を剥がせば寒い謎ばかり 









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蛍の宿は川端柳・・ちと早いか。

2008-05-14 01:39:30 | 川柳日記
 以前、週一回の割合で、「今週の川柳もどき」と題して、主に時事川柳を載せていました。
 ああした時事ネタの川柳はわかりやすい反面、賞味期限があり、一定期間の後にはそのほとんどが生命を終えます。

     
         岐阜金神社前のナンジャモンジャ
        しばらく前に撮って掲載を忘れていた
       もう散ってしまっているので名残にどうぞ

 
 あれらを一生懸命作っていたのは、ひとつには賞金稼ぎもありました。
 各新聞社の川柳欄は、ほとんどが時事川柳で、応募すると5,000円ぐらいを筆頭にして、なにがしかの図書券をくれます。
 それを目当てに週一ぐらいで投稿をしていました。
 その習作が「今週の川柳もどき」でした。
 二、三の新聞社を対象に、多い年では、数万円の稼ぎになったこともあります。
 今は、ある事情があって投稿も止めています。
 従って、「今週の川柳もどき」も止めていました。

 
            ナンジャモンジャの花

 今回ここにまた、川柳を復活掲載しますが、これは時事ネタによるものではありません。
 かといって「サラ川」風の滑稽味を主体にしたものでもありません。
 ほとんど季語や切れ字がなく口語体であることから、川柳なんでしょうが、まあ、ジャンルはともかく、五七五のリズムにのせた言葉のオブジェを鑑賞していただければと思います。

 これを機会に、また時折載せます。よろしく。

 

     
        先月食べた野蒜がこんな葱坊主になって


<川柳もどき>
 
*存在の仕方
 
 ここにいてほんとうにいいのだろうか
 愚痴を言う相手もなくて爪を切る
 使い捨てアウトレットの無常観
 眠るには少々邪魔な白い夢
 豆なので転がってます昨日今日


*部屋と階段
 
 この部屋をゴッホの青に塗りつぶす
 時折は迷子の風が部屋に来る

 降りきった階段からは無視される
 階段をのぼりきる都度淡い闇


 
             ムラサキツユクサ

*時間・歴史
 
 落とし物ばかりしてきた青春賦
 次という余白に怠惰飼っている
 八月の雫が秘める長恨歌
 再びはいつも冷たく違う貌


*人を恋うる
 
 梅のような花芯のきみに逢いにゆく
 いだいてもなお弟のようなきみ
 禁断の串に刺されて白む朝
 恋歌を裏返したら薔薇の棘
 黄色い花芯椿のエロティシズム


     
           ゴメン、この花名前を知らない

*飛ぶ
 
 飛んでゆくところもなくて酒を汲む
 宇宙には宇宙の歴史飛ぶもよし
 飛ぶときに飛べない翼もっている



          今回はここまで・・。 





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石原さんちの都銀って? そして、Qちゃん。

2008-03-11 10:47:52 | 川柳日記
    久々に川柳の登場です。
        題して「太陽の季節の黄昏」でしょうか。

            


        たこ足で足りず都税を食い散らす
        責任を転嫁してまた注ぐ税
        この銀行一体誰のためのもの
        勲章のつもりで作り大やけど 
        撤退を考えもせぬ老いの意地

     
        石原や浜の真砂は尽きるとも
           世に言い訳の種は尽きまじ


 

 そいでもって全く関係なくQちゃんの話です。

 高橋尚子さんは私の高校の後輩にあたります。
 先輩・後輩とか母校意識の希薄な私ですが、尚子さんは素直に応援していました。オリンピック優勝後の同窓会では、ミーハーよろしく握手をして貰いました。

 喜びも悲しみも、変に増幅された感情に流されないで、からっとして受け止めている彼女を好ましく思います。

 名古屋国際マラソンは、所用のため実況を見ることはできませんでした。今となってはそれがよかったと思います。
 あの彼女の痛ましい様子を見ていたら、いくら彼女がからっとしていても、こちらが泣けそうになったかも知れません。

 大輪の花が散りゆく様に立ち会っている感があります。

        駆け抜けよ花散る里に至るまで

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