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鳩山総務大臣は「月光仮面」か?

2009-02-21 01:20:04 | 社会評論
 「かんぽの宿」の一括売却が脚光を浴びています。
 確かに無茶な話だと思います。郵貯にしろ簡易保険にしろ、国民が蟻が持ち寄るようにして貯めた資金で作られた施設が、特定の企業に二束三文でたたき売られようとしているのですから。
 そればかりではないのです。既に郵政公社時代に売り払われた資産が、土地転がし同様に転売され、ひどいものでは公社売却金額の百倍、千倍の価格で取引されているのです。この差額はまさに国民の資産が収奪された額なのです。

 それらが実際に無茶な話であることを前提にしての話なのですが、この過程の中で、鳩山総務大臣がそれに待ったをかける「正義の味方」であるかのように登場し、麻生政権が地に墜ちている中でそれに批判的なひとや、つい先日まで悪口を言っていたひとからも絶賛されています。
 「友だちの友だちはアルカイダ」などと発言し、麻生内閣のアキレス腱ではないかといわれていたのが嘘のようです。

 
     「友だちの友だちはアルカイダ」だがオレは正義の味方だッ!
 
 昨20日の衆議院予算委員会では、社民党の保坂展人氏の追求に対しても、鳩山総務大臣は待ってましたとばかりに質問者(つまり保坂氏)と同じ目線で、郵政会社の西川社長を追求する側に回っていました。
 つまり、「悪玉」=郵政会社 vs 「正義の味方」=鳩山大臣という図式がすっかり出来上がってしまっているのです。そして、社民党の保坂氏すらその図式に乗せられて、もっぱら鳩山・保坂連合軍 vs 西川社長の路線で質問し、その矛先は監督者である鳩山大臣に向かうことはありませんでした。

 考えてみればこれは奇妙という他はありません。確かに日本郵政株式会社は民営化されてはいるのですが、その株式のすべては政府所有であり、初代社長である西川氏も政府によって任命され、その監督官庁が総務省なのです。
 従って、「かんぽの宿」の売却やそれ以前の諸施設の叩き売りを総務省が知らないはずはないのです。もし、本当に知らなかったとしたら、それは総務省自体の怠慢に他ならないのです。
 従って、「西川社長 vs 鳩山大臣」という図式は全くのでたらめで、「西川&鳩山 vs 資産を収奪される国民」というのが正当な図式なのです。
 繰り返しますが、鳩山大臣は「正義の味方」であるどころか、まさに責任を追及さるべき当事者なのです。ここしばらくの事態の推移の中で、どうやら本人も「月光仮面」であるかのように錯覚しているのは全くもって困ったものです。

         
          いいか、保坂!オレを援護しろよっ!

 ですから、その売却手順などを巡っていざこざがあるとしたら、それは鳩山大臣の怠慢に発する総務省内部の内輪もめに過ぎないのです。質問に答える西川社長が終始憮然としていたのは、そこで問題にされている事実はすべて総務省に報告済みであり、了承を得ているのになぜ自分が矢面に立たなければならないかという気持ちの現れだろうと思います。それをうかうかと見逃し、鳩山大臣とお手々繋いでいる保坂氏もどうかなぁと思いました。

 これにはもうひとつ陰謀があります。それはこの「かんぽの宿」問題を敢えて表沙汰にすることにより、小泉氏の影響力、政治遺産を無化しようとする動きです。
 先般の小泉氏の怒りも、それを察したからでしょう。

    
           西川!その「かんぽの宿」を放せッ!
 
 私は小泉氏の政策には当初から疑問を持っていましたから、それはそれでいいのですが、この手法の姑息さには我慢が出来ません。
 過去の小泉時代の政策が誤りであったのなら、こうしたなし崩し的な陰謀によって事態をうやむやにするのではなく、明確な自己批判の上で政治路線の変更を行うべきなのです。そのためには、小泉劇場の喧噪によって獲得した現在の議席を返上し、今一度民意を問う必要があることはいうまでもありません。

 ただし、それも出来ないでしょうね。与党は小泉劇場の成果の上に乗っかりながらそれを覆すだけの総括能力も新たな路線への展望も持ち合わせてはいないからです。
 せいぜい出来ることは、不評ふんぷんたる総理の首をすげ替えることでしょうが、それとて選挙なしで4人の総理というのは許されるものではありません。

 与党の発想は、「あの総理では選挙を戦えない」ということでしょうが、そこで抜け落ちているのは「あの総理では国民がたまらない」という事実なのです。
 ああ、この目線の落差!







コメント
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