八王子市散田町在住のスポーツ好き親父の戯言!

八王子市の学童野球チーム散田ドラゴンズ元管理人(2007年3月~2016年2月)のブログです。

イマジネーション

2008年05月26日 19時28分38秒 | 指導・育成のうんちく
国連親善大使を10年間務めてきた女優の紺野美沙子さんがTVでインタビューを受けていました。アフリカやカンボジアなど最貧国を訪れた中で出会った12歳の少女との会話を引き合いに出し、自分の同い年の息子のことを語っていました。同じ年齢の同じ子どもが、生まれた国が違うというだけで、これだけ境遇が違ういうことを分ってほしくて、「一日にパン一つも食べらない国もあるのよ」と言って聞かせても、息子に「その話は耳にタコだよ」と言われてしまうということでした。そこで、今は分からなくても、いつか分ってもらえるようにと、自分の国連親善大使の経験を本にまとめたということでした。そう語る彼女の顔は、女優のそれではなく、母の顔でした。
 
ドラマなどでは、ここで息子が涙ぐみながら他人の痛みを理解するところでしょうが、現実はそうはいきません。他人の痛みや気持ちを理解するには、相手の立場に立って考えられるイマジネーション(想像力)が必要であり、人間に与えられた貴重な能力ですが、これは生まれつき備わっているわけではなく、成長とともに育んでいくものだからです。動物を擬人化したようなドラマや映画がありますが、動物は自分がうれしい、こわいという気持ちは持ちますが、人間の気持ちを理解するイマジネーションは決してありません。そもそも、鏡に映った自分を自分と理解することも出来ません(チンパンジーだか、オランウータンだか霊長類には数少ない例外があるようです)。他人の気持ちを理解するには、自分と他者を峻別して認識する力が欠かせません。その点、人間では赤ん坊でもかなり早い段階で、自分と他人を区別するようになります。しかし、これだけで他人を理解するわけではもちろんありません。社会生活をする中で、他者の中の自分というものを認識し、社会性を身に付けていきます。小学校の低学年くらいまでには、こうした社会性は身に付けますが、これもあくまで他者の中で自分がこうすべきということを理解するだけで、他者の立場に立って気持ちを理解するまでには至りません。関心の中心はあくまで自分だからです。だから、相手の気持ちに思いが及ばない、いじめや喧嘩、傍若無人な態度などもあるのです(大人になってもそういう人がいますが、そういう人は社会性がないと言われます)。
 
しかし、だからと言って、子どもには分からないからと何も言わなくていいかというと、そうではないと思うのです。紺野美沙子さんのように、分からなくても繰り返し繰り返し言って聞かせるという刺激を与えることで、少しずつそういうイマジネーションが育まれるのだろうと思います。管理人の母親は、戦争で両親を亡くしており、子どもの頃からそうした話をそれこそ「耳にタコ」というくらい聞かされました。その時は恐らく紺野さんの息子と同じような態度だったのだろうと思いますが、今でもその話はよく覚えていますし、今では自分が理解して聞いていたような気になっています。つまり、本当に理解は出来なくても、記憶にはしっかり残っており、理解できる段階になるとしっかり気持ちの中に入ってくるのでしょう。一番分かりやすい例は、自分がその立場に立った時でしょう。例えば、自分が親になると自分の親の気持ちがすんなりと理解出来ますし、子どもを持つほかの親の気持ちも理解できます。
 
野球というスポーツは、ボール一つあればいいサッカーなどと違って道具にも結構お金がかかります。サッカーのように世界的スポーツにならない理由の一つです。散ドラ諸君は、そういう恵まれたスポーツをしているんだというイマジネーション(想像力)をぜひ持ってください。イマジネーションがあれば、相手投手が苦しんでいるときに簡単に打ったりしないでしょうし、打ち気満々のバッターをスローボールで打ちとったりもできるようになります。イマジネーションを磨こう!

コメント
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