八王子市散田町在住のスポーツ好き親父の戯言!

八王子市の学童野球チーム散田ドラゴンズ元管理人(2007年3月~2016年2月)のブログです。

二世、二代目、二作目…

2009年05月22日 22時58分51秒 | 指導・育成のうんちく

政治の世界では、世襲議員のあまりの多さに世襲制限の議論が湧き起っています。二世(三世以上も含む)議員が半分以上を超える自民党では、当初感情的な反対論が強かったです。自分たち以外のことにはもの凄い暴言を吐くことが珍しくない先生方が、「憲法で保障された職業選択の自由に抵触する」と言うなど急に人権派になってしまうことが笑えます。

 

しかし、別に政治家を目指すことを禁じているわけではないのですから、親の選挙区から出馬しないという制限くらいあってもいいと思いますけどね(イギリスなどでも法的制限ではないようですが)。プロ野球の世界だって、ドラフトで希望する球団にはいけませんが、プロ選手にはなれるのと同じことです。

 

しかし、党首交代で勢いを取り戻した民主党が世襲制限を前面に出していることから、自民党も急速に制限賛成に雪崩を打って、小泉元首相の二男進次郎氏も無所属での出馬となりそうです。しかし、無所属でも自民党支部長の位置づけは外さず、当選後は追加公認する予定だそうですから、端から抜け穴だらけで真剣にやるつもりはないようです。

 

企業でも二代目、三代目に世襲して成功することもありますが、失敗することの方が多いように思います。スポーツの世界は実力の世界ですから、カズシゲ、カツノリなどビッグネームの父親を超えた例はありません。麻生さんは問題外と思いますが、福田康夫前総理、安倍晋三元総理などは能力はあったとは思いますが、やはりひ弱さが目立ちました。いいか悪いかは別にして、三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫、中曽根康弘といった面々(三角大福中)までは一代で道を拓いてきた迫力がありました。

 

この差はだいぶ前に書きましたが、主体性の問題になるのだと思います。主体性とは、誰かにやらされたのではなく、自分で「選択」して決断したところに宿ります(どんな決断に対してもです)。福田さん、安倍さんも最後は自分で決断したのでしょうが、やはり周囲の思惑や、もともと引かれたレールの影響がなしとは言えません。世襲でない人にはまったくそういうことはないわけです。小中高校生だって同じことです。無理やりやらせた習い事や塾などは長続きしないこともありますし、やっても熱が入らないことが少なくありません。それに対して、自分でやりたいと始めたことは、長続きしますし、努力します。政治もそうあってほしいものです。

 

おっと、本当はこんな政治談議をするつもりではなく、今日読んだ恩田陸著『エンド・ゲーム 常野物語』のことを書くつもりだったのでした。これは不思議な能力を持つ一族のまったく異なる短編をまとめた『光の帝国 常野物語』の続編です。三作目ですが、最初の短編の一つを受けた続編という意味では、二作目といった方がふさわしい作品です。映画や小説なども、二作目は失敗することが多いですが、この作品も恩田陸にしては珍しく失敗していますね。一作目は、それぞれ長編にと考えていたモチーフが、不思議な能力を持つ一族という一つのテーマで短編集としてまとめられただけあって、次が読みたいと思わせる奇抜なアイデアに富んだものでした。作者自身もぜひ続編を書きたいとあとがきで語っており、それが今回形になったものですが、短編の中で示された物語の端緒がまったくストーリーとして展開されておらず、観念的なこと、あるいは恩田作品の中では私が苦手なファンタジック・ホラー的な展開で、短編での秀でたアイデアが育っていない印象でした。また、意外な結末を迎えるわけですが、それが秀逸なミステリーにある「えっ、まさかっ」ではなく、「えっ、そういうこと??」でした。あとがきで、書いているときにシニカルな気分だったとかでそんな気分が反映していることは十分にうかがえ、また「攻めて」書いたありましたが、その気合いが空回りし攻めが失敗に終わった感がある作品でした。

 

二世、二代目、二作目は難しいです…。

 

コメント
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