私個人的には、菅首相にはすっかり引導を渡してしまっていて、はやく降板してほしいのですが、政治の世界というのは、どうも世の中の常識とは別な論理と動いているので、菅降ろしのマグマはうごめいているものの、菅首相の思惑通りに、うやむやになっているようです。
そんな中、菅首相は、またまた五度目となる避難所の視察をしたそうです。現場主義を自認するがゆえでしょうが、こうした視察で何を得ようとしているのでしょうか。日本国の首相に必要なのは、この未曽有の大震災が何を引き起こし、それを終息させるためにどうすべきかという大局観、全体観であって、細部のことではないはずです(もちろん、避難所の方々の生活がどうでもいいということでは決してありません。念のため)。個々の人たちの痛みは、別な人たちがいろいろ癒しているのです。
こうした大局観、全体観がないがゆえに、国民も、経済界も、政界も不安になっているのに、相も変わらずパフォーマスン的(あるいは本当に自分の信念なのかもしれませんが、そうだとしたら、これだけ無意味なことに真剣に時間を費やすのはなおさら不適格です)な視察に時間を費やして、本当にこの人は何を考えているんだろうと思います。
その癖、お盆までに仮設住宅の建設に目途をつけると「国会」で勇ましく発言しました。しかし、それが(国交相などとすり合わせたものではなく)「総理大臣である自分が指示すれば、実現するだろうという見通しで申し上げた」と、何ともお粗末な中身でした。あ~ぁという感じです。
もはや誰もまともな助言をする人が周囲にいないんでしょうね。どこまで呑気なのかと呆れてものも言えません。市民活動家だったはずなのに、これほどまでに権力欲に取りつかれた無能な首相(自民党政権最後の首相とどっこいどっこいという感じですね)に、与党も、野党も、所謂政局としての思惑の中で、正面切った身動きが出来ず、菅首相の狙い(この震災に乗じて首相の座に居座る)通りの流れになっています。
今大事なのは、民主党でも、自民党でも、公明党でもありません。日本を沈没させないことです。誰でもいいですから、大局を見渡せる人が、菅首相の首に鈴をつけ、我欲を捨てて事態の収拾にあたるべきです。そんな人がいたら、誰も政治に無関心にならないか。